弐拾陸 二匹の狐 ページ30
｢自分にもっと自信を持て。いつも下ばっかり向いてて勿体ねえ｣
｢で、でも僕なんて....｣
｢だーかーらー！顔を見ろ！｣
｢っ？！｣
晶稔の顔を手で挟み思い切り自分の顔に近ずける。
少し青の混ざった黒い瞳が自分の長い前髪の間から見えた。力強く鏡のようにその瞳には自分の顔が写っているのが分かる。どうしてそんなにも強く生きられるのだ。
｢俺の顔が嫌がってるように見えるか？｣
｢....ううん....｣
｢そうだ、俺は晶稔の事が今日好きになった。
人なんてそんなものだ、理由もなく突然人を好きになって、勝手に嫌って迷惑もいいところだ｣
まるで恋の話をしているかのように語っているが本人は至って真面目。彼らは恋などしたことがないからそんな感情知りようもないのだが。
｢晶稔、君には“俺”がいる。自分なんてと卑下するな。晶稔が卑下したらその晶稔を好いている俺まで愚かな奴になる、それは嬉しいか？｣
｢....嬉しく、ない....だって、高麗は優しくて頭も良くて....皆の憧れだもん....｣
｢その憧れに好かれているんだぞもっと自信を持て。
いいか晶稔、この世界は理不尽で息苦しいことばかりだ、だから何か一つでいい大切なものを見つけろ｣
その青く黒い瞳は何を見ているのだろうか、見つめられるほど自分の本質を見抜かれそうで後ずさりする。後ろは壁で逃げようが無いのだが。
｢それは夢とか、なんだったら最初は好きな食べ物でもいい。ただ自分で決めたものは絶対に揺らぐな、信じる自分を信じろ｣
信じる、自分....とはなんだろう。自分は得意なことなどない、頭も良くないはないし運動ができるわけでもない。性格は臆病でいつも何かに隠れて、自分から何かしたこともない。
自分には何もないと晶稔は考え目が泳いでしまった。
｢........俺は晶稔を友人だと思っている。
晶稔にとって俺は？｣
｢えっ....みんなの憧れで....｣
｢違う、そうじゃない。俺とどうなりたい？｣
｢........高麗くん、と、友達でいたい....｣
恥ずかしい、自分なんかが高麗の友人でいたいなど烏滸がましいにも程がある。高麗は優しいからああ言っているのに違いないのだ。
だけどそれでも叶うならと言葉が零れた。高麗の瞳は見るものを惹き付け離れられない、思わず口に出してしまう程に。
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Lotus(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです^^* ご期待に応えられるように精進してまいりますのでよろしくお願いします！ (2019年11月17日 20時) (
レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品ですね！！応援しています！！更新頑張ってください！！ (2019年11月17日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - すﾝずさん» わあー！ありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです(*´`*) これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2019年11月9日 17時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
すﾝず - とても面白いです！！更新頑張って下さい！応援しています！ (2019年11月8日 20時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます....!!!!急に消えたのに探していただいて有難いです！！！期待に応えられるよう精進してまいりますのでよろしくお願いします！ (2019年10月27日 22時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lotus | 作成日時：2019年10月23日 20時
