199《彼女のために》 ページ49
〈瞳side〉
きっかけはこの一言。
「ねぇ、奏は？」
お昼休み、例の如くみんなと生徒会室で昼食。
と、思ったのに奏の姿が見当たらない。
「カナちゃんー？用事があるみたいだよー」
カサカサと菓子パンの袋を開けながら優斗が答えてくれる。
「え、嘘。今日はもう学校に戻ってこないのかな？」
私も鞄の中から今日のお昼ご飯のグミを取り出しながら更に質問。
グミを見た陽平が苦い顔をしているけど無視だ。
「さぁ？どうしたのー？カナちゃんに何か用事ー？」
「いや、用事っていうか･･･」
「･･･？どうした？」
口ごもる私に昴が声をかけてくる。
「んー、明日暇かなぁ、と思って」
別に口ごもるほどのことじゃないんだけど。
自分から人の予定を聞くのって初めてで、なんだか気恥ずかしかったのだ。
「なんだよ貧乳。カナの予定聞いてデートでもする気だったのか？」
偉そうな態度を取る綾の手には今日も牛丼。
ちなみに彼曰く、自分で作った牛丼が一番美味しいらしい。
「デートじゃなくて、明日一緒に出かけてもらえないかなって思っただけ」
「･･･そーかよ」
「何よ、その微妙な返事は」
「別に」
曖昧に言葉を濁して牛丼を頬張る綾。
「瞳ちゃん、それは奏じゃなきゃダメな用事なの？」
陽平が右手に栄養補助食品を持ち、左手でパソコンを弄りながら私に視線を向ける。
陽平が何かを探るようにじっと見つめてくるから、思わず目を逸らした。
「別に絶対奏じゃなきゃってワケじゃないんだけど･･･。なんていうか、慣れてそうだし、安心かなって･･･」
「ッゲホッ！！おま、ゴホッ」
「何で咽せてるの、綾」
首を傾げて彼を見れば、咽せて苦しいのか涙目で睨まれた。
「あのー瞳ちゃんー？【慣れてる】って何が、かなー？とか･･･」
しどろもどろ、やや挙動不審気味の優斗。
なんなの、この室内のドギマギした空気は。
「だって、女の人のことは奏が一番慣れてるかなと思って」
「はぁ！？」
私の言葉に叫んだのは綾で。
急に咽せたり叫んだり･･･、忙しないな。
「それで瞳ちゃん、【慣れてる】奏と出かけて何するの？」
やたらと【慣れてる】を強調する陽平。
その顔はなんだか少し困っていた。
「何ってそりゃ、」
「ヤラシイことに決まってるでしょうに野暮なこと聞くんじゃねぇよ〜。なぁ、嬢？」
ゆるりと流れるような声に視線を向ければ。
生徒会室の扉に気怠く寄りかかっている奏の姿があった。
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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月20日 23時) (
レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです！これからも頑張ってください！！ (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー！ありがとうございます頑張ります！ (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー！！これからも更新頑張ってください！！楽しみにしてます！ (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました！ありがとうございます頑張ります！！ (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖夜 | 作成日時：2018年8月14日 20時
