【utit】自 作 自 演 の キ ス 魔 、 ま ふ ま ふ【mfmf】

その後番外編:グレーの彼 ページ34

まふが小さく、けれど深くため息をついたのを見て、目の前に座っている光と目を合わせた。
まふは額に手を当てると、ゆっくりと顔を上げた。

「るす君･･････Aが可愛い」

「それは元からやと思う」

来て数十分も経っていないはずなのに、唐突に帰りたくなってきた。
どうしてなのかはもう検討は付いていて、私は光が出してくれたお茶をただ眺めていた。
助けてくれと頼んでも誰も来てくれないのは目に見えていたから。

「あー･･･もうだめだ･･･A可愛すぎるから絶対に他の人も狙うし･･･もういっそのこと閉じ込めてなんなら鎖でもつければ･･･」

ぶつぶつと物騒なことを言い始めるまふを見たあと、光に視線を移す。
光も流石にこれはと思ったのか、眉を下げてまふのことを見ていた。

「そんなんしたら嫌われると思うんやけど･･･」

光の言葉に驚いたように目を見開くまふに私も同意するように頷いた。

『うん、嫌う』

だって閉じ込めるとか、彼方達に会えなくなるとかそんなの暇だし･･･
まふとまだ行きたいところもあるし、流石に困る。
まふはあからさまに残念そうに眉を下げたあと、首を傾げて顎に手を当てた。

「じゃあ･･････依存させるしかない？」

「まふ君どんどん怖なるね･･･」

自分では自覚がないのか首を傾げているまふに、呆れて何も言えなくなる。
依存って普通の人なら出ないだろう･･･
幼馴染みにして恋人が、こんなヤンデレだとは思いもよらなかった。

『怖いまふとは一緒に住みたくないなぁ･･･離れて暮らす？別にいいよ？』

「それはやだっ！じゃあ言わないから！依存とか閉じ込めるとか言わないからぁぁぁああ！！」

半泣きになりながら勢いよく抱きついてきたまふのことを、宥めるように頭を撫でる。
大きな子供みたいで少し面白い。
こんな事を言ったら光の前だとか関わらずにキスされそうなため言わないが。

『光･･･なんか、巻き込んでごめんね』

「ううん、大丈夫やで。･･･A、大変やな」

光の呟かれるように放たれたその言葉に、私は乾いた笑いをこぼした。
まふのそういうところも好きなんだけどね。
･･･騒がれるのも嫌だから絶対に言わないけど。

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