【utit】自 作 自 演 の キ ス 魔 、 ま ふ ま ふ【mfmf】

キス魔 ２５ ページ26

「あ、そーいえばさ」

なにかを思い出したかのように不意に話しかけられて、顔を上げた。
さっきの出来事のせいで、まだ顔が熱い気がするが、数分前よりかは熱くなくなっていた。
かなり前ならば今も赤いままだったろうに･･･
慣れって怖いな。

「･･･僕さぁ、キス魔じゃなかったんだよね」

『え、嘘』

まふはクスッと微笑むと、ほんとだよ、と真剣な声色で言った。
だけど表情はなにかを面白がるような顔で、なにを信じればいいのか分からなくなってくる。

「でもねー･･･なんか、本当にキス魔になってきちゃった」

『え･･･は？』

「だから、覚悟してね。A」

悪戯っ子のように笑うまふは、まるで悪魔のようだった。
今すぐにでも逃げ出したいが、きっとそれはまふが許してくれないだろう。
逃げたいなんていったら、逃がさないとでも帰ってきそうな雰囲気をかもし出している。
でも逃げないのは、きっと惚れた弱味というやつなのだろう。

「あれ、嫌だとか言わないの？」

『･･･別にいいかなぁって』

まふとのキスは、悪くないから。
そんなことは恥ずかしすぎて言えない。

「なぁんだ。慣れてきたんだ。ま、いいけど」

ふてくされたように呟いたまふは、なにを考えていたのか残念そうだった。
私は、かなりのキス魔な天使に捕まってしまったらしい。
逃げ出すことも逆らうこともできない。
だって･･･

「A、大好きだよ！」

こんな笑顔を見せられたら･･･

『私も大好きだよ、まふ』

きっと誰であろうと魅入られてしまうから。

自作自演のキス魔、まふまふ→←キス魔 ２４　まふまふ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す