探偵社の自称最強異能力者さん【文豪ストレイドッグス】

人を殺して死ねよとて＿＿玖 ページ10

一心不乱にそのアイディアを信じ、再び僕は立ち向かった。


夜叉の刃は止まることを知らず、僕に襲いかかる。


やっぱり、僕には無理なのか？


せめて、今……あの異能力……月下獣を発動することが出来たら＿＿＿


中島「＿＿＿はっ……！」


襲いかかる刃を防いでいたのは、僕の虎へと化した腕だった。


勝てる、勝てるかもしれない。


夜叉の攻撃をかわし、一気に少女への距離を詰める。


中島「終わりだ」



少女の首元に虎の手を向けた。



鏡花「私の名は鏡花。35人殺した……一番最後に殺したのは三人家族。父親と母親と男の子。夜叉白雪が首を掻き斬った」


そう言って少女は自分の身体に取り付けられた爆弾を見せる。


中島「……君は一体何者なんだ……言葉からも君からも何の感情も感じられない……まるで殺人マシーンだ。思いがあるなら言葉にしなきゃダメだ。じゃないと僕みたいな馬鹿には分からない！こんなのが本当に君がしたいことなのか？！」


与謝野「こちら車掌室。敦、A、まだ生きてるかい？こっちのヘボ爆弾魔によると、そっちの爆弾は遠隔点火式らしい……間違った手段で解除すると、数秒で爆発する。解除にはリモコンの停止ボタンしかない。そっちのマフィアが持ってるはず」


「お嬢ちゃん、早く渡してくれ」


Aくんが優しい笑みを浮かべてそう言うと、少女は素直にボタンを手渡してくれた。


これで一安心だ。息を着いてボタンを押す。


中島「？！……なんだ！」


停止するはずの爆弾が、起動した。


中島「爆弾を外すんだ！」


「敦くん、無闇に触ったら＿＿」


鏡花「間に合わない！」


爆弾を外そうとしていた僕を、少女はその細い手で突き飛ばした。


……やっぱり僕は馬鹿だ。


今頃、今頃気付いてしまったのだから。


「……君の異能力は、いつも携帯からの声で動いていた」


そう、彼女は自分の異能力を自分で操れないんだ。


鏡花「私は鏡花。35人殺した……もうこれ以上、一人だって殺したくない！」


そう言って目に涙を浮かべる少女は、これまでで一番人間らしい顔をしていた。


「あっ！」


少女電車から飛び降りる……その先は広い川だった。


助けなければ。


その一心で僕は異能力を発動させ、飛び降りた彼女の爆弾を無理矢理取り外し、空に投げやった。

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