たえまなく過去へ押し戻されながら__拾弐 ページ41
中島「君の見落としは一つ。この戦いは最初から三対一だ!ドアが開いた瞬間に谷崎さんの細雪で扉の映像を偽造した!」
ルーシー「そんな……その上、部屋へと吸い込む力に腕力だけで抵抗するなんて……」
中島「君は思い違いをしている……僕は強くも人気者でもない。寧ろ生きることはずっと呪いだった……だから他人を妬み恨む君の気持ちはよく分かる……本当は君にこの作戦を失敗して欲しくない!居場所を失って欲しくない!」
汚れた紙ナプキンのように捨てられる……彼女のその台詞、寂しげな声、顔が僕の脳裏に焼き付いて離れなかった。
中島「……でも!僕は弱くて未熟だから他に方法が思い付かない!」
彼女に結び付けておいたリボンを引っ張る。
扉の奥に閉じ込められる前に異能力を解除しなければ、彼女含め僕達は一生ここから出られなくなる……!
ルーシー「……はっ……これは……?!」
中島「リボンを君に結んでおいた……異能力を解除して皆を解放しろ!でないと君を奥の部屋へ引きずり込む……」
僕が手を離せば彼女は部屋に引きずり込まれる。彼女にとってはさぞ絶望的な状況だろう……本当に申し訳ないと思っている。
でも、僕にも負けられない理由があるんだ。
中島「鍵が無ければ扉は開かない……今の君が幽閉されれば、扉を開けられる者は誰も居なくなる。そうなってから異能力を解除しても、君は元の世界へは戻れない……違うか?」
ルーシー「それは……!」
中島「異能力は便利な支配道具じゃない!それは僕がよく分かってる!自分が作った空間に死ぬまで……いや、死んだ後も囚われ続けたいか?」
ルーシー「あたし失敗する訳には……!!」
分かっている、分かっているんだ。
出来ることなら君も助けたい、でも僕にはできない……。
中島「今から手を離す。決断の時間は、扉が閉まる一瞬しかないよ……」
ルーシー「ダメ!!待って!!」
彼女の悲痛な叫びに思わず目を瞑る。
…………僕は、掴んでいた手を離した。
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まつの(プロフ) - 無花果さん» コメントありがとうございます! 素晴らしいと言って頂けてとても嬉しいです……!やる気アップしちゃいます😭🙏 男主私も大好きです!これからもよろしくお願いします✨ (2022年8月15日 23時) (レス) id: 71bdd36fd8 (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - わわわわわわっどっどうゆうこと? なんか、その、素晴らしいです。 いや、自分、12歳私立女子中学1年生なんですけど、こういう男主系は好きです。 有り難いです。 (2022年8月15日 23時) (レス) id: 2c86921cab (このIDを非表示/違反報告)
まつの(プロフ) - あまの。さん» コメントありがとうございます! 着眼点が凄い……!こだわっているポイントの1つなのでとっても嬉しいです✨ マイペースな更新頻度にはなりますがこれからも是非よろしくお願いします! (2022年8月14日 19時) (レス) id: 71bdd36fd8 (このIDを非表示/違反報告)
あまの。(プロフ) - 初めまして!夢小説なのに主人公からの視点の話が今のところ一切無いというのが、何を考えているのか分からない主人公という演出感満載でとっても素敵です……!これからも更新楽しみにしてます! (2022年8月14日 19時) (レス) @page5 id: 9e424abfc0 (このIDを非表示/違反報告)
まつの(プロフ) - はわわさん» コメントありがとうございます……!まだまだ謎多き主人公ですが、これからも是非楽しんでお読み頂ければと思います✨ (2022年8月13日 3時) (レス) @page19 id: 71bdd36fd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつの | 作成日時:2022年8月12日 18時