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prrrr。prrrr。


突然なった携帯の着信音。


「あ、ごめん、俺だわ。ちょっと出てくる」

「はいよー、いってら」


どうやら、鳴っていたのは薮くんのスマホらしく、パタパタと部屋の外へ出て行ってしまった。

すると、キミが手を止めて俺に近寄ってきた。


「ねぇ、大ちゃん?さっき俺のこと見てたでしょ?」

『へ!?み、み、みてないよっ!』


ふふっ、バレバレだよ、とキミは笑う。うぅ、はずい。きっと今の俺の顔は真っ赤に違いない。
それに…言えない、かっこよくて見入ってしまったなんて。


「大ちゃんわかんないとこない?あの様子だと薮、当分帰ってこないから」


電話が長くなると言うことは相手は光くんだと確信する。


「あ、全部はダメだよ?」

『う、なんでわかったの?』

「だって、進んでないもん」


その通りです。1ミリも進んでません。


「じゃ、この問題から教えてあげるね」

『あ、うん、おねがいします』


ペンを持ってもう一度、数学と向き合うとキミが解説を始めた。

あれ…?学校の先生の話は呪文のように聴こえてすぐ眠くなるのに、キミの声はなんの抵抗もなく耳にはいってくる。


『…っ、できたっ!』


あれだけ進まなかったのに、キミの解説のおかげで今の5分ですんなりと解けた。


「おぉ!やればできんじゃん?」


えらいえらいと俺の頭を撫でるキミ。


『俺、子供じゃない』

「高校生はまだ子供なの」

『む〜』


そういうところだよって笑ってキミはまた頭を撫でる。





「ごめん、長くなった!」


電話を終えた薮くんが帰ってきたので、俺とキミはまた勉強を再開する。


『…ん』


キミが撫でてくれた頭に手を当てた。錯覚だけど、頭が良くなった気がする。それに1番は…うれしかった。


『がんばろっ』


少し気合いを入れて、ペンを持ち直した。


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作者名:ストれも | 作成日時:2020年3月23日 12時

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