春よ、終わらないで (ページ16)

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薮くんが俺からテスト結果を受けとると、キミがこちらに寄ってきた。

｢なになに～、大ちゃんのテスト興味あるっ！大丈夫だよ、光より悪いテストなんてこの世にないから～…ってえ？まって、大ちゃん。これマジでやってる？｣

だから、言ったじゃないか。そんなに幻滅しないでくれ。ただでさえ、落ち込んでるんだから。

「まぁ、隠すってことは悪かったって予想出来てたけどまさかここまでとは…光と同レベルだな。｣

「わーお｣

そんな驚かないでくれ。ピンの嵐に感動しないでくれ。心臓がえぐられる。

「今日は伊野尾と一緒に勉強みっちりとしてもらおうか、大ちゃん？｣

『はい、よろしくお願いします。薮先生…』

こうしてなぜかまたキミの家にいることとなった。

「やぶ、ここはこれでいいんだよね？」

「あぁ、合ってる。このまま計算してけば答え出ると思うから」

「ん、おけ」

すらすらとシャーペンが走る音が鳴り止まない。キミは薮くんの【俺が住む次元の向こう側の話】を聞きながら納得して問題を解いている。

俺はと言うと、勉強し始めてから1時間以上は経っているのだが全く進まない。

模試でも解けなかったのに解けるわけねーじゃん。

そっと、キミの横顔に目を向けた。真剣な眼差しに透き通る白い肌。文字を書くごとに張る腕の筋肉。

ひとつひとつが魅力的だった。

…はっ！って、勉強中になにを考えてるんだ俺。集中しろ俺。

『んぐぐぐっ』

数字を睨んで顔にシワを寄せる。

…ダメだっ！わかんねー。

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