春よ、終わらないで (ページ12)

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あいにく自転車は修理をしておらず、走って坂を登らなければならなかった。

自業自得なのは分かっているが、めんどくさいと言うのが本音だ。

息をいらしながらも草原に到着するとキミはまた草の上に寝転がっていた。

『やっほー、いのちゃん』

「あっ、大ちゃん！｣

俺の姿を見てキミは嬉しそうに上半身を起こす。すると、俺の全身をじっくりと上から下まで見てくる。なんとも言えない恥ずかしさを覚えながらキミの次の言葉を待った。

「おぉ！ユニホームの大ちゃんレアものだね」

…は？それだけ？と思いツッコミ入れたかったのもやまやまだがあいにく部活終わりの俺にはそんな体力は残っていなかった。

部活終わって来たんだとキミに伝えて隣に寝転がった。

「ふふっ、お疲れだね」

『…うん』

なんだかお日様の下にいるとポカポカして眠たくなってくる。それに、俺の頭を撫でるのは反則だよ、いのちゃん。

あぁ、これはもうダメだと思ったのも束の間に俺は夢の世界へと誘われていった。

『…ん』

気づけば深い眠りについていたようだった。目を擦りながら起き上がるとキミは隣で本を読んでいた。

『…はよ』

「あ、大ちゃん起きた？おはよう」

『おれ、どれくらい寝てた？』

「ん？ざっと1時間半かな？」

うん。寝すぎだぞ俺…

寝すぎは春の陽気のせいにしておこう。

キミの存在が暖かくて心が安らいだ、なんて恥ずかしくて言えないから。

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