廿伍 ページ31
A
目を見つめてじっとしていると、煉獄さんが口を開いた。
杏寿郎「難しい質問だな!」
いつものようにどこを見ているのかよく分からない目でそう答えた。
「ですよね〜…」
わかってる。居ないということも。
……本当になんでだろう。
杏寿郎「…敷いて俺に言えることがあるとすれば」
大きい声ではなくて、本当に小さくて、幼い子供に言い聞かせるような言い方だった。
影が、重なった。
最愛の兄に
一瞬息を飲むと
杏寿郎「似ているのではないだろうか。その、君の兄に」
「……!」
薄々気づいてはいたのに、その愛情に触れたくなくて気づかないふりをしていた。
「…そういうことかぁ……」
杏寿郎「だと思うぞ!」
それに、この人は優しい。
似ている、という言葉を使ってくれた。
雰囲気が同じー、とかではなく。
その、言い難いのだが、同じという言葉は私は嫌いなんだ。
同じ。瓜二つという意味。
兄さんは1人だ。当たり前だけど。
煉獄さんが「俺と君の兄さんは同じなのではないだろうか」そう言われていたら間違いなくブチ切れていたと思う。
暗い顔をしていたのか、ふっと横で笑った声が聞こえた。
不意に頭に温かいものが乗る。
杏寿郎「…愛する家族が居なくなるのは辛いだろう」
その言い方からこいつも誰かを失っているんだ、そう思った。
「………………………………ああ」
ために貯めてそれしか出せなかった。
これ以上関わると兄さんを鮮明に思い出してしまうからだ。
……そして泣いてしまう。
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ピエロ(プロフ) - ひーちゃさん» ありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです…! (2020年2月28日 11時) (レス) id: ac5457e183 (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃ(プロフ) - めーっちゃよき!! (2020年2月27日 23時) (レス) id: a3b4ed7c89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピエロ | 作成日時:2019年1月21日 21時