普通が良い (ページ8)

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普通8 ページ8

ポカンとするめいさん

聞くのは不味かったか

だいたいの活動者は顔バレとか気にする
私も気にしてた
何も漏れないよう、バレないようにしていた

唐突にそう聞くのはだめだったか……

この空気をどうにかしようと、何か他の話題を出そうとすると

「そう！よく分かったね！」

裏のない笑顔で言われた

「き、機材とかあったから……もしかしてと思いまして」

「もしかして、Aちゃんも歌い手さんだったりする？」

言葉に詰まった

"違います"

その言葉を言えば良いのに、声に出せない

きっと、私は歌い手という活動において、未練がある
だからはっきりと言えないんだと思う

歌い手なんて、もう嫌なのに
聞いたりするだけで、拒否反応が出るのに

あの時の輝いてた時の事が頭から離れない

未練たらたらだ

「おっと、聞いちゃダメだった？ごめんごめん。Aちゃん、もし良かったらまた合わない？」

この人はどこまでと優しい人だ
いつか詐欺に遭ってしまうんではないだろうか

その優しさが心に染みる

何故か、何故だか

「……はい、もちろんです」

と、答えた

めいさんはずっと優しく微笑んでいてくれた