満たして ページ49
『傷痕、残っちゃったね』
相「別に誰も気にしないだろ」
リビングのソファに並び、消太の目元に触れる。
髪を下ろしててもラインに沿って入った傷痕がよく見えて、袖捲りした肘にも、崩れた痕が薄く残っている。
『…腕の状態もあるし、一応リハビリしなきゃね。治ったからってすぐに無茶しないでよ』
相「分かってる。家でまで仕事しなくていいだろ」
『妻として心配してるだけですぅ』
相「そうかい…、そう言うなら」
『？ちょ、』
手を引かれ、ソファに倒れる消太に連れられて一緒に倒れ込む。消太に覆い被さる様に重なって、2人で寝転ぶには狭くて落ちそうで怖い。
『…何やってるんですか』
相「夫を癒すのも妻の仕事だろ。こっちは2週間も仮眠室に引き篭ってたんだ、こうすればお前も仕事ができて俺も癒される。合理的だ」
『甘える口実を作っただけじゃん…。素直に言えばいいのに』
相「素直じゃなくて悪いな」
『いいよ、別に』
ソファから落ちない様に、彼の胸にぺったり抱き着く。
『私も甘えるから』
相「素直だな」
柔らかく髪を撫でる手や彼の体温を感じて、溜まってた疲れが溶けて心地良い安心感が生まれる。
『ありがと、消太…』
相「礼を言うのはこっちだよ。色々助けてくれてありがとうな」
額に熱が触れて、そっと離れる。
顔を上げると消太と目が合って、その目には優しさや愛おしさが灯っていた。
たまに見せてくれる彼の愛情は、未だ慣れなくて。
思わず彼の肩に顔を隠した。
相「どうした？」
『…幸せのキャパオーバー起こしてるから、ちょっと待って』
相「ふ…、なんだそりゃ」
消太は穏やかそうに笑って、ただ優しく頭を撫でてくれる。
相「…慣れろとは言わねぇが、駄目になるのは直したらどうだ」
『駄目にする人がいるから無理…』
相「そいつは、旦那冥利に尽きるね」
高くなった熱と速めの鼓動。触れる場所から伝わるそれは、どっちのものだろう。
相「寝んなよ」
『…寝れないから大丈夫』
手を伸ばし、ごわつく髪に触れる。
指を通して梳いたり、耳に触れて撫でて。
時折顔を上げて触れ合うだけの口付けを繰り返す。
体勢が苦しくなれば器用に位置を変えられて、見上げる前に口が塞がれる。
深くなって浅くなって、ゆっくり互いを溶かす様に、満たす様に優しく何度も触れた。
穏やかで、幸せな時間。
こんな時間がずっと続けばいい。
そう思わずにはいられないくらい満ち足りていた。
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とよ(プロフ) - 初コメ失礼します。尊い、、尊き、、なにこの幸せおしどり夫婦もう一緒抱きつき合って幸せになっていやがれ！！と心の周波数が乱れ、思わず叫んでしまいました。無理せず更新はいつでも気長に待ってます！この作品大好きです！あと相澤先生もす((((( (2023年3月2日 21時) (
レス) @page49 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りゅうさん» りゅうさんお久しぶりです！この展開は前々から考えていたシナリオでした。読者の方々が望んでいた物語ではなかったかもしれませんが、もう少しだけ2人の話に付き合って頂けると幸いです。作品を読んでくださりありがとうございます！(*^^*) (2020年3月26日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - _Mikado_さん» _Mikado_さんコメントありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さってありがとうございます！これからもよろしくお願いいたします！ (2020年3月26日 19時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅう - こんばんは！最新話拝見致しました(涙)まさかと思いながら小説を読んでいて自分自身も悲しい思いでいっぱいです… (2020年3月26日 19時) (レス) id: 18e42f338b (このIDを非表示/違反報告)
_Mikado_(プロフ) - 続きたのしみです！更新頑張ってください！ (2020年3月26日 17時) (レス) id: f327cce89d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年3月4日 1時
