[バンタン狂愛短編集]

ただいま、Ep.11 ページ12

『な…んで………』





目に飛び込んできたものに対して

体が拒否反応を起こした





どうして…、なぜ、と疑問系ばかりが脳内を飛び交う






なぜ、と私は改めて声に出して問いかけた。






『なんで…ジミンが……いるの……』






テヒョンの奥にジミンの姿があった。

見たくなかった。信じたくなかった。

そう強く思うほどジミンの姿は鮮明に映った。







「ジミナね、連れてきちゃった」


『なんで…』


「それはまだ言わなーい」









なぜ、ジミンはテヒョンから逃げ切れなかったのか

なぜ、テヒョンと出会ってしまったのか

なぜ、テヒョンに付いてくるなんて自分から死に行くような行動をしたのか

なぜ、なぜ、なぜなぜ、なぜなぜなぜなぜ






「Aのスマホで呼んだんだ。カトクで今どこ？って聞いたらあっさり場所教えてくれたから、助かったよ。ね？ジミンちゃん？」






ジミンの顔を覗き込み

笑うテヒョン






「俺に気づくなり逃げようとしたんだよ？ひどくない？親友なのにさぁ」






さらに顔を近づけ

ジミンの頭にかぶってたフードを乱暴に取った






「だから、殴ってやった。逃げたらもっと酷いことするから、綺麗な状態で俺に付いてきた方が安全だよって」






さっきよりジミンの顔がよく見えた

でもその顔は

口元が切れて、額は出血していた





「ジミナは偉いから数回殴っただけで言うこと聞いてくれた」






ジミンは戻ってきたけど





''逃げ切った''のではなく''捕まった''







「あ、そーだ。一つ言い忘れてた」









思い出したようにテヒョンが私の方に振り返り、妖艶に笑いながら言った









.









「ただいま、」









.









その一言は

私の人生が狂う、始まりの合図となった。






.

ただいま、Ep.12→←ただいま、Ep.10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す