目が覚めたら小さなやつがれ君に抱きつかれていて、炬燵を捲ったら真っ白な毛のとらくんに出会いました

やつがれ君ととら君の和睦です ページ6

とら君が発した言葉の意味を理解したのか、
急に静まり出し

静寂な空間が広がる。

「あゝ........、そうか、人虎の云いたい事は、つまり」

やつがれ君の
漆黒樽瞳で見つめられたとら君は、

極度の緊張と静寂過ぎる状況下の中で、
最早

其の虎と云う生物の型が仇となってしまったのか、顔が強張り首筋から冷や汗を滴らせる

唾液を飲み込んだのか喉仏が動き、

ゆっくりと
言葉を発する為に口を開くやつがれ君

「つまり........、やつがれとAの間に存在する、深く刻まれ、逃れる事の出来ない鎖の様に硬い信頼、若しくは血族に近しい肉親共云える様な関係が羨ましかったのか、人虎は、」

『「は？」』

其の
驚き共云える意外過ぎる言葉に目もくれず、

淡々と言葉を綴って行くやつがれ君

「だからこそ人虎は、
正に当たり前の様な事にしか気がつく筈も無く、慰みも慈悲の声も、あわよくば同情の声さえもかけられぬ程に、やつがれとAの間に間者の様にして付け入る隙は無かった。」

そしてやつがれ君は私の元を離れ、
普段は決して脱ぐ事の無い闇の象徴。

無惨な殺.戮の権化。
畏怖されるべき殺傷能力を持つ其の、

【黒外套を、とら君に羽織らせた】

「済まぬな人虎、最早貴様のつけうる隙など
等に失われて居る故。嘸かし今貴様が体験し、己の経験として胸に刻むで有ろう孤独と云う立場は辛いで有ろうが、貴様に本来向けるべきである筈の同情など必要無い。」

やつがれ君はしょたなのにめちゃくちゃ真面目でした→←とら君とやつがれ君は激闘の予感です

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す