〈文スト〉黒猫 (ページ6)

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ー太宰side

驚いた。

まさか Aがいるなんて。

｢な、なんでここに、、？！
太宰さん、、｣

Aも驚いたらしく動揺したようだ。
私も驚いたが冷静を装った。
まぁ気づいてるかもしれないが。

｢やぁ、こんなところでまた
会えるなんてねA。ちょっと野暮用さ｣

いつものようにヘラっと笑って見せた。

｢、、私はもう戻りますので｣

Aは足早に出て行こうとするから
思わず手を掴んでまた部屋に戻した。

久しぶりに触れたAの細い手首。
見つめる大きな瞳。
愛しさが込み上げてくる。
話をしたくても、何も話はないと
ハッキリと言われてしまった。
少しの沈黙が訪れるも、何か
言わなければならないと思い

｢A、、本当にすまなかった｣

これ以上はなにをしても無駄と思い
掴んでいた手を離した。
Aはすぐさま部屋を出て行こうと
ドアに手をかけたと思ったら
顔だけをこちらに向けて、

｢太宰さん、、私は別に貴方を
恨んだりなんかはしていませんよ｣

微笑えんだ。

彼女は去ってしまった。
私はもともとの目的の為
資料に目を向ける。
しかしさっきのAの笑顔が
忘れられない。
恨んでいない、、じゃあなぜ
話もなにも聞いてくれないんだ？

愛しい黒猫よ、、。