最強と元最強【五条悟】

☆酔人と下戸 ページ27

八月ももう終わる頃、私は硝子と二人で飲んでいた。




どうやら五条も一緒の予定だったらしいが任務で遅れると硝子に連絡が来たようで、今はこうして二人。





家入「Aは五条のことどう思ってんの？」





個室ということもあり、踏み込んだ質問をしてくる硝子に淡々と返す。





『ド屑』





家入「いや、そうじゃなくて。異性としてどう思ってんの？」





異性として。




それはつまり恋愛的な意味で五条のことを好きかどうか。





『絶対ない！……と言いたいところだけど。私的にはそうやって言い切りたいけど。実際は分からないんだよね』





絶対ないなら五条が誰とキスしてようが、女を取っ替え引っ替えしてようがムカつかない筈なのだ。




どうでもいいんだから。





家入「へぇ〜？」





『五条が女癖悪くなったって知った時はムカついたよ？ムカついたけど、アイツに対して元彼と同じような感情を抱くってこともないしなぁ』





元彼のことはずっと一緒にいたいと思えるくらいには好きだった。




ただホテルから出てくるのを見た瞬間冷めてしまったというのも事実で。





『もしかしたら私本当の恋愛というものを知らないのかもしれない…』





なんなら元彼が初彼氏だったくらいだし。





家入「そういえば昔さ、私とAと五条で初詣行ったじゃん？」





『うん』





家入「あん時さ、五条にマフラー貸してもらってキュンとした的なこと言ってなかった？」





『え、硝子よく覚えてんね』





出来事を覚えているなら納得できるが、言葉まで覚えているとは。





『確かにしたかも』





家入「あれ以来五条にキュンとしたことは？」





『……キュンとするような場面はあったかもしれないけど、キュンとできるような生易しい状況じゃなかったというか』





最近のことで考えると、押し倒されはしたが、一度目は自分の生死が掛かっていたし、二度目はムカついてそれどころじゃなかったし。





『…やっぱアイツはムカつくわ。何考えてんのかも分かんねーし。一度地獄に堕ちるべきだって』





何度目かも分からない誹謗を口にして、目の前にあったアルコールを流し込んだ。

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