最強と元最強【五条悟】

☆久しぶりだね、屑野郎 ページ2

「じゃあお疲れ」





『お疲れ様でした』





好きでもない人間と一緒に帰るというのは中々に疲れる。




私が呪術師を辞めて半年以上経つが、やはり呪いと関わらない生活というのは楽だった。




私が呪術師を辞めたのは、高専から逃げたのは、これ以上親しい人の死を見たくはないと思ってしまったから。




夏油に五条が止めを刺した時のことは今も鮮明に覚えている。





『はぁ…』





溜め息をついて踵を返す。





「やっほ、元気そうで何より。その顔は僕に会えて嬉しいって顔かな」





目の前には不審者と言ってもいい格好をしている同期。




言葉を発するよりも先に、表情が歪むのが自身でもよく分かった。





『お前の目には顰めっ面を笑顔に変換するようなフィルターでもついてんのか？』





よりにもよって一番会いたくないコイツに会ってしまったのは私の運が悪いからか、それとも何も言わずに呪術師を辞めた私への罰か。




取り敢えず一つ言えること。




さらば、私のスローライフ。





五条「酷いよね〜。こっちは毎日命懸けで呪霊を祓ってるっていうのに、お前はのんびり彼氏とデートかよ。気楽で羨ましいわ」





『喧嘩売る為に来たなら帰れ？屑野郎。つか彼氏じゃねーよ』





ただの上司だわ。





五条「は？そんな穏便に済ますと思ってんの？この僕が」





『喧嘩を穏便って言い切っちゃう人間って中々ヤバいと思うのよね、私』





五条「何を今更。ってことで着いて来てもらうから。拒否ったら問答無用で殺すよ」





『お前が殺し屋でも呪詛師でもなく呪術師やってることに疑問しか抱かないんだけど』





五条達には悪いと思ってる。




思ってるけど、呪術師から一度離れたことに関しては後悔なんてしていない。





五条「はい」





『はい？』





差し出された手に首を傾げる。





五条「手繋ぐから早く出して。逃げられても困る」





『あのさ、今年で二十九になる人間にそういうこと言っちゃう？』





五条「見た目はそうでも精神年齢ガキじゃん」





『だからお前にだけは言われたくねぇんだよ』






叩きつけるように手を出した。

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