検索窓
今日:4 hit、昨日:38 hit、合計:777,161 hit

五十一 ページ6

蒼社の屋敷は何も変わっていないように見えて、明らかに変わっていた。



敷地内に入っていないというのに何かが焦げたような匂いがして。



いつもは僕の姿に気付くなり、うざいぐらいの勢いで寄ってくる門番達もいない。



もしかすると手遅れだったかもしれないと思いつつ屋敷の中に足を踏み入れる。





「……て!!……だ!!…頼む!」





屋敷の中を進むにつれ聞こえてきたのは助けを乞う声。



きっとそこには襲撃した犯人もいるだろうと自然に歩く速度が上がる。





『……最初から縛りなんてなかった。蒼社の呪術師は蒼社の非術師を傷付けてはならないなんて、そんな縛りは』





やっぱり。



僕の好きな声には殺意が込められていた。





『…母を呪って殺したのはお前だろ。…現当主サマ?』





すぐに出て行って彼女を止めないのは、僕にその権利がないから。



それに彼女は今まで散々苦しめられてきた。



これくらい看過しても構わないだろうと判断してのことだった。





当主「紅葉が!!紅葉が悪いのだ!!私の気持ちを受け入れなかった紅葉が!」




『……は?』




当主「紅葉はあろうことかあの禪院の落ちこぼれ…甚爾とか言ったか。あの男に恋をした。決して結ばれる筈のない愚かな恋をな。









…勿論邪魔してやったよ。他の男と婚姻させ、お前を産ませた」







聞いていて胸糞悪かった。



他人である僕がここまで気分を害されたのだから、多少とはいえ血の繋がりのあるAはもっとだろう。



このままでは間違いなくAはこの男を殺す。



ここに来るまでに倒れていた奴らは全員重傷ではあったが死んではいなかった。





『もういい。分かった。……お前はどうあっても絶対殺す…!!!』




当主「ヒッ……!!」





バチバチと何かが弾ける音がして、僕は襖を開け放つ。



現れた僕にAは一瞬驚いていたようだったけれど、すぐに当主の男に視線を戻した。






『…お母さんは最後まで私の為を思ってくれた。好きでもない相手との間にできた私を。…甚爾もそう。なのにお前は母を呪って殺しただけに留まらず甚爾のことまで貶した』





俯いているせいでAの表情は見えなかったけど。



それでも彼女が今何を思っているのかは分かった気がした。

五十二→←五十



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1058 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2004人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 伏黒恵
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613  
作成日時:2020年12月1日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。