六十七 ページ22
五条「……おい」
口や胸から血を流し、酷い状態で倒れているAは微動だにしなかった。
彼女に触れようと伸ばした手は、術式によるものなのかバチッという音ともに弾かれる。
Aが呪霊を祓った場所であろう建物が倒壊しているだけでなく、辺り一面も酷い有り様だった。
五条「A」
名前を呼んでもAが目を開けることはない。
五条「…自由になったばかりだろ。何あっさり死んでんだよ」
僕はまだ何も伝えてない。
謝ってすらいない。
なのに。
五条「勝手に死ぬなよ…!!!」
自分の手に痛みが走るのも気にせずAに触れる。
五条「…!」
微かではあるものの、彼女は呼吸を繰り返していた。
そっとAを抱き上げて。
五条「……死んだら絶対赦さないからな」
Aと一緒にいた筈のアリスは何処にもいない。
Aが戦っていた相手に殺された?
仮にそうであれば死体も血痕もないというのはおかしいし、危険な状態でアリスが僕に助けを求めないというのも有り得ない話だった。
・
五条「硝子!!」
勢いのままドアを開ければ、硝子は一瞬驚いたものの、すぐに冷静になる。
家入「重傷だな。…というか生きてるのが不思議なくらいだ」
五条「絶対助けて。…絶対にだ」
家入「分かってる。それにもし助けられなかったら殺されそうだし」
硝子はそこに寝かせてと寝台を指差し、僕は指示通りにAを寝台に寝かせる。
家入「心配だろうけど、外に出てて」
五条「…頼んだ」
部屋から出ればそこにいたのは1年3人。
中でも恵の表情は酷かった。
伏黒「Aは」
五条「…硝子に生きてるのが不思議なくらいだって言わせるレベル」
伏黒「…!!」
釘崎「Aさん、助かるよね…?」
野薔薇は目尻に涙を浮かべていた。
五条「大丈夫だよ。僕の同期は凄い奴しかいないからね!そこ!深刻な顔しないの!」
虎杖「…先生は怖くないの?」
俯き気味に悠仁は僕に聞く。
五条「そこは硝子を信用してる」
笑顔を偽って答える。
怖くないわけがない。
でも生徒達の前でそんな情けない姿を見せるわけにはいかなかった。
五条「Aは死なないよ」
僕の口から出たのは理想論。
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よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年12月1日 16時