私を女避けにするな後輩。【呪術廻戦】

14.分からない ページ14

夏油「先輩」




五条悟の部屋を出た私を待っていたのは真剣な表情をした傑君だった。すぐさま笑顔を作り、返事をする。




『どうしたの？傑君。まさか私のこと待ってたとか…？』



夏油「悟と話してたんですか？もしかしてキス以上のこととか…」



『話はしてたけど、キス以上のことはしてないよ』




流石にキス以上のことはフリだとしても無理。死んでも私は自分の純潔を守り抜くと神に誓ってもいい。




夏油「そうですか。…A先輩の選んだ相手だったら例えどんな相手でも何も言わないつもりでした」



『？』



夏油「でも悟だけはやめた方がいい。というか別れてください、今すぐに。悟と付き合うということはおれおれ詐欺に掛かっているのと同義です」



『別れるって…もしかして傑君、悟君のことが…！』



夏油「それは絶対ないです。地球が滅んで、宇宙が消え去っても有り得ません」




あれ？君達親友だよね？五条悟ものすごい言われようじゃない？？




夏油「先輩に敬語も使えない、一人称も変えない、女遊びも酷い、しまいには先輩のことをそういう目で見てたし…」



『え？』




敬語が使えなくて、一人称も俺のままで、女遊びも酷いまでは理解出来たというか知っているが、最後のは知らないんですけど。




『そういう目って…』



夏油「私達が一年の頃から悟は下心丸出しでした」




んんんん？？五条悟って四年の先輩が好きなんだよな？



それに傑君の言っていることは過去形だから、一年の頃の五条悟は私のことが気になっていたということでいいのだろうか。




夏油「私は先輩が好きです」



『…？！』



夏油「呪術師としても人としても完璧で、困っている人を放っておけなくて、自分のことは顧みない先輩のことが好きだから、A先輩には幸せになってほしい」



『あり、がとう…？』




ここまで紛らわしい告白は初めて聞いたんだけど、これはどっちの好き？人として好き？それとも恋愛対象としての好き？




夏油「悟とのこと、真剣に考えて欲しいんです。もし悟が別れないと駄々を捏ねるようなら私が黙らせるので」




傑君の満面の笑みに底知れぬ恐怖を感じる。




夏油「それでは」




私はただ傑君の後ろ姿を見送って。




『……人として完璧…ね』




好きな後輩に好きだと言ってもらえて嬉しい筈なのに、何故か心からその言葉を受け入れることは出来ず、嬉しいとも感じられなかった。

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