ぶりっ子VS最強__延長戦

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如月Aがマンションに戻る三十分前___




どうしよう。寝れない。




夏油君は一時間以上前に眠ったというのに私は眠れていない。




要因は多分、環境が変わった＋五条君以外の異性と家にいるからであろう。




ヤバいよ…流石に今日もオールナイトは無理だよ。ぶっ倒れる自信ある。




夏油君には悪いけど帰らせてもらおう。




幸い五条君と同居してるマンションは電車がなくても移動できる距離にある。




そうと決まれば起こさないようにさっさと出て行こう。





・





なんて張り切っていたのは二十五分ほども前の話で、今の私は二十四歳にもなってガチ泣きしている。




え？理由？そんなの階段の段差に躓いて転けたからに決まってんだろ、こんちくしょう。




顔面からだぞ、顔面から。




一般人と比べたら頑丈でも顔面から転けたら泣くに決まってんでしょう。




反転術式で治してはみたけど、ヒリヒリするってことはちゃんと治せてないのかもしれない。




下手くそになった？マジで？




『私の武器の一つである顔に傷が残ったらどうしてくれるんだよ、この段差』




と文句を言いながら躓いた段差を蹴った後、立ち上がって、目前にあるマンションに向けて歩き始める。




もう二時だし、五条君と鉢合わせる___なんてことはないだろう。




きっとあの人はベッドでぐっすり寝てるから、私はソファで寝て朝早くに家を出ればバレないでしょ。




もしかしたら今日も蓬の家で過ごしているかもしれないし。




…どうしよう。蓬と五条君がイチャラブしてるところを想像したらムカついてきた。




お母さんもこんな気持ちだったんだろうな。




暗唱番号を入力し、カードキーで鍵を解除しながら母の心境を考えた。




蓬と五条君が短時間でそういう関係になっていたとしたら二人とも間違いなくクズだぜ？




蓬を殴る想像をしながら部屋のドアを開けて、靴を脱いでいた私の目に映ったのは驚いた顔をした五条君だが、多分私も今驚いた顔をしている。




『五、条……君』




誰が想像出来ましたか？ドア開けて数秒と経たないうちに五条君が現れるだなんて。




必死に話題を探していたら唐突に抱き締められた。




『え……あの……』




マジで何言っていいか分からなくなったよね、この瞬間。

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