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No side
五条悟が如月Aと同居していた筈のマンションに帰って来たのは午前二時を過ぎた頃だった。
何故こんな時間になったのかというと、再び蓬、家入と共に飲みに行っていたから。
ただ昨夜___正確に言えば二日前と違うのは、アルコールを摂取せず、自我を保ったまま過ごしていたという点。
五条「はぁ…」
案の定如月はおらず、五条の溜め息は閑散とした空間に人知れず溶けていく。
すぐシャワーを浴びる為、着替えを準備しようと通ったリビングで五条の視界に入ったのは机の上に置かれた簡素なメモ。
それを自然な動作で手に取り、黙読ではなく声に出して読んだ。
五条「五条君色々ありがとう。あと色々ごめんなさい。…いや、小学生かよ」
五条が知りたいのはその色々であるというのに、纏められてしまっては呆れるしかない。
色々という言葉がどれだけ便利なものであるのか五条は再認識した。
五条「……メモじゃなくて直接言えよ。あの馬鹿」
なんて五条は言うが、如月がメモに伝えたいことを書いたのは五条が帰って来なかったからである。
それに高専では結局五条と如月が話すことはなかったのだから仕方ない。
五条「傑の家でぐっすりとか笑えない」
そう呟いた後、五条の耳に入ったのはドアを開ける音。
セキュリティがしっかりしているこのマンションでは、第三者はまず不法侵入出来ない。
そこから五条が出した結論は一つ。
早足で向かった五条が見たのは
『五、条……君』
驚いた表情で目尻に涙を浮かべる如月Aの姿だった。
五条は言葉を掛ける前に彼女を抱き締める。
『え……あの……』
五条「何があった?傑に何かされた?…A、嫌なことされたんだったら言って。今すぐアイツのこと殴りに行くから」
矢継ぎ早に告げた五条に動揺しているのか如月が言葉を発することはなく、それをいいことに五条は言葉を続けた。
五条「今日はごめん。ゴミ取ろうとしてくれただけなのに意地張って払い除けちゃって。本当は凄く嬉しかったのに。…僕Aのこと大好きだし、心から愛してるって言える。結婚も同居もやめたくない。傑のところに行ったりしないで」
如月に会ったら文句の一つ、二つは言ってやろうと思っていた筈の五条の口から出たのは彼女を繋ぎ止めておきたいが為の言葉達だった。
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chiaki0708(プロフ) - テンポよく最後まで楽しく読みきれました!!また作者さんの違う作品も見に行きます! (2022年1月9日 9時) (レス) @page39 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
七不思議零番たんでち - 作者さん!!!!これは御願いなのでやらなくてもいいんですが… 後日談(仲良し一年ズも出てくる)つくってほしいです!!!! 素晴らしい作品をありがとうございました!!!! (2021年4月3日 3時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柿助 - 完結おめでとうございます!作者様が書く夏油の切なげな恋が大好きでした!お疲れ様でした! (2021年3月31日 7時) (レス) id: fedb05499d (このIDを非表示/違反報告)
るーり - 完結おめでとうございます!なんだか、とても楽しめるお話でした!!作者様、最高!!! (2021年3月22日 14時) (レス) id: 7ac2a7ec47 (このIDを非表示/違反報告)
宮夢(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!次回作も楽しみにしています! (2021年3月21日 15時) (レス) id: 84aaee8034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月24日 18時