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夏油「…何かあったのか?」
夏油君の家に着いて、私がリクエストしたミートスパゲッティを食べ終えた時に夏油君は聞いてきた。
『まぁ、ちょっと。五条君のこと考えてた』
夏油「私の家に来て悟のことを考えるなんて妬くね」
『それくらいで妬くとか夏油君の心の広さはプランクトンサイズか』
夏油「普通だと思うけど」
私の分の食器まで運んでくれた夏油君はやっぱり良い奴だし、彼と結婚すれば私は幸せになれるんだろうなと頭の片隅で考える。
五条君と結婚したら苦労が多そうだなと思うのはなんでだ…?
夏油「A」
『んー?』
食器を運んで戻って来た夏油君が私の名を呼んだので顔を上げれば、額に柔らかいものが触れて。
『………………』
夏油「君の間抜け面は面白いな、本当に。いつまでも見ていられる気がするよ」
私の額にキスを落とした夏油君はいつもの調子で私を揶揄う。
夏油「悟ではなく、私を選んではくれないか」
巫山戯ているのかと思いきや、そう言った夏油君は真面目な___真剣な表情を浮かべていた。
夏油「私は悟と違って無理強いしたりしないし、Aを悲しませたりもしない。喧嘩になることはあるかもしれないけど、最終的には絶対笑わせてみせる」
『…夏油君……』
夏油「Aが好きだよ」
彼の言葉にはきっと嘘一つない。
それにイケメンだし、財産もあるんだから、彼と結婚しない理由なんてない___と母や、少し前の私は思うんだろう。
夏油君の気持ちは嬉しいし、彼との未来を想像したくもなるけど、それでも。
『ごめんなさい。私には夏油君を選べません』
夏油「……」
『夏油君みたいな良い人と私は釣り合わないよ』
夏油「それが私を選ばない理由か?本当に?」
夏油君には敵わない。流石心友。
『…本当は五条君のことが頭から離れないから。自分でもおかしいと思ってる。散々顔と財産しか好きじゃないとか言ってたのに』
今だってまだ彼に抱く感情が恋愛感情なのかは分からないし、もしかしたら違うのかもしれない。
けど。
(おかえり)
(大好きだよ、A)
(はー…世話が焼けるな、お前)
『今の私は…五条君しか選べない』
夏油「…そうか。少しでも勝機があると思っていた自分が恥ずかしいよ」
夏油君は困ったように笑った。
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chiaki0708(プロフ) - テンポよく最後まで楽しく読みきれました!!また作者さんの違う作品も見に行きます! (2022年1月9日 9時) (レス) @page39 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
七不思議零番たんでち - 作者さん!!!!これは御願いなのでやらなくてもいいんですが… 後日談(仲良し一年ズも出てくる)つくってほしいです!!!! 素晴らしい作品をありがとうございました!!!! (2021年4月3日 3時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柿助 - 完結おめでとうございます!作者様が書く夏油の切なげな恋が大好きでした!お疲れ様でした! (2021年3月31日 7時) (レス) id: fedb05499d (このIDを非表示/違反報告)
るーり - 完結おめでとうございます!なんだか、とても楽しめるお話でした!!作者様、最高!!! (2021年3月22日 14時) (レス) id: 7ac2a7ec47 (このIDを非表示/違反報告)
宮夢(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!次回作も楽しみにしています! (2021年3月21日 15時) (レス) id: 84aaee8034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月24日 18時