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『ねぇ、なんか内臓が痛いんだけど』
悟に一か八かのメッセージを送ってから、十年前に花火を見る筈だった場所で私は呟いた。
側から見れば謎の独り言というか、関わりたくないなと思われるような独り言だが、私にとってこれは会話である。
(それは君が世界に認識されたからだよ。だからあれほど関わるなと言ったのに)
『別にいいし。悟と花火が見れたら大人しく死ぬよ』
(何故花火?)
『これだけが心残りだったから。あの悟が一緒に見てくれるって言ったのに、見ることなく死ぬとか最悪すぎるでしょ。好きな人と見る花火の特別さ嘗めんなよ』
なんてぶつける宛のない鬱憤をタナスに吐き出していれば、私以外の足音が聞こえたので、振り返る。
『…ここに来れたってことはやっぱり思い出したんだ。……“久しぶり”、悟』
五条「何が久しぶりだよ、屑女」
『だから屑はお互い様じゃん。っていうか生徒じゃなくなった瞬間態度変わりすぎでしょ』
五条「……なんで生きてんの」
そっか。記憶が戻った悟からすれば私がなんで生きてるのかってことから説明しなきゃ理解出来ないか。
『輪禍家と契約してる呪霊の影響って言えば分かるでしょ。細かい説明は面倒だから省くけど、その呪霊に条件付きで二度目の人生リスタートさせてもらった』
五条「その条件は?俺や硝子がお前のこと忘れてたことにも関係あるんだろ」
『さっすが悟〜。察しがいいねぇ』
笑う私を悟は睨んで“俺は真面目な話をしてんだよ”とこれまたひっくい声で言ってくる。
『私が生き返った時点で、私に関する記憶…情報は世界から消える。だから悟も硝子も夜蛾先生も私のことを覚えてなかった』
悟が異常なだけで、硝子や夜蛾先生に至っては未だ私のことを思い出してはいないんだろう。
多分その二人まで思い出していたら私はもう死んでる。
『んで、二つ目。これが一番重要でね。悟にはまた辛い思いさせるかもしれないから謝っとく。ごめん』
五条「は…?どういうことだよ」
『………誰かが私のことを思い出したら私は死ぬんだよ』
悟はその綺麗な目を見開いた。
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時