キミが私を忘れても【五条悟】

1(序章) ページ1

『死にたくない…』





全ての始まりは私のこの一言だった。





(死にたくない？それは随分と我が儘だね)





…幼い頃からずっと私の中にいる彼には、死にたくないという欲求は我が儘になるのか。





『好きに言えよ。それでも私は死にたくない』




(何故？)




『そんな質問をして不毛だとは思わない？』





生まれた時から私の中にいた存在。




彼には私の考えていることが手に取る様に分かる筈だ。





(そういうところが面白くないんだよ、君は。だから呪霊に殺される。ユーモアが足りない)





お前も呪霊だろと心内で毒を吐けば、





(失礼だな。彼らと一緒にしないでほしい)





と脳内に声が響く。





(そもそも君の有限呪術は…)




『……今更私の術式について触れても死ぬんだから意味ないでしょ。……ユーモアユーモア煩いんだから、最期くらい笑わせてみろよ。…契約主様をよ』




(フム。…じゃあ人生をやり直すかい？)




『は？』





私は笑わせろと言ったのであって、絵空事を言えと言った覚えはない。





(条件はあるけれど、それを全て飲むならば君は死なずに済む。まぁこの条件は君にとって酷なものかもしれないけどねぇ)




『いいよ。どれだけ酷でも私はその条件を飲む』




(それ。それだよ。そういう君は面白いから好きだ)

2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す