最強が浮気しやがった【五条悟】

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(ホント嫌い！大っ嫌い！！私なんかいなくてもいいじゃん)





『……言えない。言えるわけないじゃん』





私はあの日初めて知った。




嫌いなんて言葉は相手だけじゃなく私自身のことも傷付ける言葉だったってこと。




そしてあの五条がそんな言葉で簡単に傷付くんだってことに。





『大好きなのに言えるわけない…』





五条に背を向けたまま零した本音はそのまま消える。




死ねとか最低だとかいう言葉も相手を傷付ける言葉だっていうのは分かってる。




でも五条と私の間でそれらは傷付ける言葉にはならなかった。




好きの対義語は無関心じゃなく嫌いだ。




それこそが私たちにとって唯一の相手を傷付ける言葉。





『…でも好きだからこそもう付き合いたくはない。だってもしまた浮気されたら多分私は耐えられない』





好きだの愛だのという感情は時に人を狂わせ殺すのだから。





五条「じゃあ僕が浮気しないっていう確証を得られたら、僕と別れずに京都にも行かないって約束しろ」





『……いいよ、分かった』





そんな確証は絶対に得られないからと判断しての返事だった。





『…！？』





部屋から出るのをやめ、振り向いた瞬間に塞がれた口。




少しして私から離れた五条はゆっくり話し始めた。





五条「…Aが傷付くなら、一緒にいられなくなるくらいなら僕はもう浮気なんてしない。そういう縛りを課してもいいとさえ思ってる」





『は……？縛り…？』





他者との縛りを破った際の罰はあまりにも不明瞭。




だからよっぽどの場面でない限り他者に縛りの話は持ちかけない。




浮気をしないなどという長期に渡る縛りであれば尚更。





五条「正直な話、体を重ねる相手なら幾らでもいる。あ、僕に限った話じゃないよ。誰だってそうでしょ。そういう関係だけを求める奴だっている」





肯定する言葉の代わりに続きを促す。





五条「でも心から好きだって…ずっと一緒にいたいって思える相手はそういない。僕だってそれなりに色んな人と会ってきた。婚約の話だってないわけじゃなかったし。…でも」





五条はそこで一度言葉を切り、私の目を見てから言った。





五条「A以上に好きになれる奴なんていなかった」

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