二十六＊ ページ27
悟さんの件で父が街中の人達から不評を買い始めて少し。私は今日も悟さんの屋敷に訪れていた。
『悟さん』
五条「いらっしゃい、A」
最近悟さんは私の姿を見つけると穏やかな笑みを浮かべるようになった。
初対面の時には想像も出来なかったような、私以外の誰が見ても美しいと思ってしまうようなそんな笑みを。
でも彼は頑なに街には戻ろうとしなかった。
『今日も聞きますが、街には戻らないんですか？』
五条「戻る必要ないし、屋敷を移るのも面倒なんだよ」
『必要ないって…一人は寂しかったって言ってたのは誰ですか』
間違いなく彼はそう言ったのに。
五条「僕には君がいるからそれで十分だよ。それにあんな瓦版一枚で掌返すような奴らとはお近付きになりたくないね」
『あんな瓦版って…』
確かに内容は荒削りにも程があったけれど、悟さんのことを思う一心で出来上がったものだけあって、そう言われると複雑な気持ちになる。
彼の言うことも確かに一理あるし、私もそう思わないわけじゃないけど。
『でも一生此処にいるわけにもいかないでしょう？』
五条「なんで？」
“何か問題でもあるの？”と首を傾げる悟さんはなんというか可愛い。
…ではなくて。
『此処にいたら一生独り身ですよ？』
五条「だから僕にはAがいるからいいって」
『良くありません。そもそも悟さんお幾つなんですか』
五条「二十だけど」
『！！？？』
二十？それはつまり悟さんは私よりも四つ歳上になるということで、精々離れていても一、二歳だと思っていた私は驚くしかなかった。
五条「そんなに意外だった？Aは？」
『十六です…』
五条「へぇ。じゃあ丁度これから婿を捜し始めるわけだ。雅のお嬢様に劣らない男なんているのか疑問だけど」
久々に聞いたお嬢様という単語には棘があったような気がして、次に首を傾げるのは私の方だった。
『悟さんだって捜し始めないと駄目じゃないですか』
悟さんの扱いが元に戻った今、彼の身分は高位に当たるから一度でも悟さんに会ったことのある女性の殆どは彼に求婚されても断りはしないだろう。
『だから街に…』
五条「それは僕が知らない女と結婚してAのことを放ったらかしにしてもいいってこと？」
極端すぎる問いに、私は顔を顰めた。
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?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です！素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (
レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…！次回作も楽しみにしていただければ…！！(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます！！！名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです！！ (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…！本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ！！ (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(ﾟдﾟヽ)(ﾉﾟдﾟ)ﾉ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹葉
| 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時：2022年1月17日 20時
