十七* ページ18
五条「…だったら治さない。僕はそれだけ君達のことが嫌いだから。それでいい?」
『いいですよ。じゃあ最後に聞かせてください。悟さん、貴方は一人が嫌ですか?』
五条「最後って…なんで」
『治さないと決まったんだったら私が此処でお世話になる意味もないじゃないですか。明日には街に帰ります。だから最後なんです。馬鹿ですね』
と今まで散々悪態をつかれてきた仕返しに悪口を言ってみるが、悟さんはそれに反応することはなかった。
五条「ちょっと待って。僕自身は確かに治す気はない。でも君がどうしてもって言うなら治す。だから一月経つまでは此処にいて」
『それ、なんだかおかしくないですか…?』
五条「うるさい」
意見して数秒と経たないうちに返ってきた言葉に私はくすりと笑ってしまい、そんな私を悟さんは睨むが、何故か怖いとは思えなくて。
『悟さん』
五条「何」
『私は今日こうして貴方と話せて良かったです』
五条「そう」
相変わらず素っ気ない言葉なのに悟さんは外方を向いていて、私の方を見てはくれない。いつもなら馬鹿にした顔で私を見るのに。
五条「君ってなんでそんなにお節介なの?箱入り娘だから?」
彼は事あるごとに私のことを箱入り娘だと言うが、何か箱入り娘に思うところがあるのだろうか。
皮肉だというのは分かるんだけど、それにしたって箱入り娘だと言い過ぎじゃなかろうか。
『悟さんがなんとなく私に似てるから?』
五条「はぁ?箱入り娘の君と僕のどこが似てるんだよ。どこも似てないだろ。似てるところを探すのが難しいくらいに」
散々な言いようだなと思いつつも、それ自体は言葉にせず、私自身が思う似ているところを挙げる。
『私、一人の時間が多かったんです。父があんな感じだから皆私を敬遠してて。一人の時間が多いところは共通点でしょ?』
五条「…あの父親なら確かに敬遠するだろうね。僕も嫌だもん」
『……ですよね』
父はやはり過保護だったのだと悟さんの言葉を聞いて確信する。
『あと似ているのは……』
とここで言葉に詰まってしまう。あれ。
五条「もしかして一人の時間が長いってだけで僕と似てるとか思ってたわけ?」
『………」
五条「そういうのは似てるって言わないよ。現に似てないしね。……君に似ている奴なんてきっといないよ」
悟さんは小さく笑った。
165人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です!素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…!次回作も楽しみにしていただければ…!!(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます!!!名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです!! (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…!本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ!! (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2022年1月17日 20時