・ ページ4
観用少女を買った。成人男性がフリル全開の大きめな人形を抱えて歩くのはなんとなく気恥ずかしくて、
店主がつけてくれたトランクケースに入ってもらってる。
ホテルへの帰路で観用少女の名前を考える。
フィーリング頼りで語感のいい名前をいくつか出す。
スジ、ソナ、ロウェン...。外国風にティアとかリリーとかもありだなぁ。
うーん、と頭を捻っているとホテルまで帰ってきていた。
「あれ、テヒョンアどこか行ってたの?随分おっきい荷物だね。」
「あ、ホビヒョン。お土産買いに出てたんですよ。」
部屋の近くでホビヒョンに遭遇。
何もやましいことは無いけど、なんとなく観用少女のことを言う気にはなれなくてそうそうに会話を切り上げて別れた。
ホテルの部屋に入り、ベッドの上に優しくトランクケースを置いて留め具を外した。
「ここがあなたのお家なの?」
また、声が聞けた。見れば見るほど、聞けば聞くほどこの子が可愛くて仕方ない。
「違うよー。ここはホテル。
俺のお家は韓国で明日飛行機で帰るんだ。
ねぇ、君はこんな名前がいいって希望ある?」
「ないわ。私、言ったでしょう?あなたが気に入ったって。
あなたがつけてくれるならどんな名前でも好きになれるわ。」
店で見たのとは違う 花びらが広がるみたいな ふわっとした柔らかい笑顔。
あぁ、ホンットに綺麗な子。
こんな綺麗な子が俺の、俺だけのものになるだなんてあんな値段ですら安く思えてくる。
「そうだなぁ...
A、Aはどう?」
なんとなくこの子と会話してたら思い浮かんだ名前。
似合いそうだと思えた名前。
「A...?それが私の名前なのね?
あぁ、嬉しい!あなたが私に名前をくれた!
今日から私はAなのね!
たくさん私の名前を呼んでね!」
心の底から嬉しそうにこの子、Aは俺に手を伸ばした。
A、と俺が呼ぶと
もっと、と言うように目を瞑って頷いた。
「ねぇ、あなたのお名前を教えてくれない?私もあなたを呼びたいわ。」
小首を傾げて上目遣い。あざとい、と思いつつそれすら可愛いと思える。すでに重症だ。自覚がある。
「俺の名前は テヒョン だよ。
Aもたくさん俺を呼んでね。」
そう言うと宝石みたいな瞳をさらにキラキラさせて、テヒョン!とAが微笑むから
優しく、そっとAを抱きしめた。
俺だけの 世界で1番綺麗なA。
165人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:間宮るぎ | 作成日時:2021年7月25日 16時