観用少女【TH】 (ページ1)

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TH side

家族にお土産、買ってないや。

公演が終わって、あとの2日は好きに観光していいよ、とマネージャーに言われていた2日のうちの2日目。

家族に渡そうと思ったお菓子は買ってあったけど、形に残るようなお土産を買ってなかったことを思い出した。

何かヨーロッパ感のあるものがいいかな、小物とか良さそう、なんて考えながら街に出る準備をする。

幸いこの辺りはお店が多いし、すぐいい物が見つかるだろうから1人でサクッと買ってこようと思って、1人で出かけた。

ホテルの部屋からでて、フロントを通りエントランスを抜け、街に出れば飛び交うのはよく聞き取れない言語で、

あぁ、俺たちも大きくなったなぁ、なんてよく分からない感傷に浸りながら歩き出した。

お、あのうさぎの置物かわいい。でもちょっと小さいなぁ。

あ、キレイな食器....、あれ何食べる時に使うんだ？

わぁ、美味しそうなワイン！あれいい！...まてまて、自分で形に残るお土産って考えてきたんだろ。

なんていろんなお店に入っては、あーでもない、こーでもないって唸っていた時、
ふ、と目に入った少し古そうなお店。

看板が無くって、何屋だ？と近づいてみたらショーウィンドウにはアンティーク調の小物がたくさん並んでいた。雑貨屋だ。

ここ、いいのありそう！って勘が言うから店の扉をゆっくり押した。

チリン、と扉に付いてた鈴が軽やかな音を立てた。

「いらっしゃいませ、何をお求めですか？」