�� - 002 今なすべきことに専念せよ ページ2
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「義勇」
世界はもう消えてしまったのだ。世界はもう死んでしまったのだ。少年にとっての愛しい
最愛の姉を失い、膨大な悲壮感に打ちひしがれんばかりだった少年の背中を誰かが摩ってやった。その手つきはあまりにも優しかった。天の使いが背より生やす、神秘の羽に触れられたような温もりがあった。
義勇。そう呼ばれた少年は目にたくさんの涙を溜め込みながら振り返った。
「すまなかった、遅かった、みたいだな」
ぶわりと少年の心臓が弾けた。血痕塗れだなんだのは気にする余裕もなく、少年はただ心のままに腕を広げその童子の腰に強く強く、抱き着く。童子は数歩よろめいたものの、しっりと彼を受け止めてやった。
「A……っうぅ、ぁぁぁっ」
顔の左半分を真っ赤に染めた童子はAと言った。少年にとっては生まれてからの幼馴染でよき理解者で遊び相手で面倒みのとても良い、キョウダイと言っても過言ではない存在だったのだ。
Aは赤色の涙を流した。顔に負った深手のためか表情を変えることも困難なようで。その表情の変化は無いに等しくそして能面のようだった。
異臭が鼻をついていた。悲痛が胸を占めていた。
朝日が登ろうとするや羽虫のように肩を竦めて怯えて森の奥深くへ逃げて行った"妹だったもの"が今でも頭から離れることはない。
でも。留まることの無い涙を流す自身より幾つも年の離れた義勇を放っては置けない。目の前で義勇が泣いているのに、自分が妹の事を考えて泣くのはいけないと思った。
Aは優しい手つきで彼の髪を撫でた。
「すまない。義勇。蔦子さん。すまなかった」
謝罪を繰り返そうと息を吹き返すわけもない。いいのよ。と許してくれる訳でもない。だのにAは壊れたカラクリ人形のように「すまない」と繰り返し続けた。
それがまた悲しかったのか。虚しかったのか。Aの羽織を握り締める義勇の小さな手が小刻みに震えていた。
「私が非力なばかりに尊きものが消えた、私はあまりに無力だった。護るものがあっても護る術がなければ、護られる対象に変わりないという事に気付いていなかったんだ、すまない。本当に」
涙で濡れた頬に雫が落ちる。堪らなくなってAのお腹に顔を埋めた。
そんな頃にはとっくに──太陽が昇っていた。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
