�� - 004 一人よりも二人で願え ページ48
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「お茶です。どうぞ」
「おお」
すいっとAの手から湯呑みを受け取ってお面を口許の部分だけずらそうとして、何か思いついたようにAを一瞥すると、結局お面を外してお茶を飲んだ鋼鐵塚を天狗の鼻が揶揄するように突き刺している。
鱗滝の機嫌はすこぶる悪かった。Aも何となく父の不穏な気配を感じとっていた。時折隣に座る彼に目線をやっては眉をほんのり下げている。
鱗滝の心情としては何故こんなにも鋼鐵塚と仲がいいのか。基本的に人の話を聞かないあの男が、面倒くさい性格で有名なあの男が、その面倒臭さが故に彼の実の父親さえもノイローゼに追い込まれ子育てを諦める程の性格をしている男が、町娘と団欒するどこにでもいそうな商売人か通行人か何かに見えるのだ。
これを前にAの保護者代表兼第二の父である鱗滝が黙っていられるはずがない。鋼鐵塚が面を外したのが更にグサッときたらしい。
少し俯いて腕を組んでいる鱗滝の背中は「娘はやらん」と無言で語っていた。
「刀に触れても宜しいでしょうか」
「いいぜぇ勿論」
「では失礼します」
きっと美しい紅のような、紫色のような、どちらにも映る色彩が浮び上がるのだろう。と鋼鐵塚は湯呑みを置いた。
以前その瞬間は見ただろう。二度目でそう期待することもないだろう。なんてことを今の彼に言ったなら包丁で追いかけ回されること間違いなしである。
そこではない。二度目だ何だは関係がないのだ。
あの感動を。あの神秘を鋼鐵塚は今でも忘れられないでいる。もう一度拝みたいと願っている。それ程に刀身がAの色に染まり上がる様は美しかった。
鋼鐵塚が腰を曲げ胡座をかいた太ももに両手を置く。
Aの手がとうとう───、柄に触れた。
「……………あれ？」
「ほお、これは……」
Aが首を傾げ、鱗滝が感銘の溜め息を漏らした。
「色が……無い？」
その通りであった。否、色が無いと言うより。
透明──と言った方が正しかろう。透き通っている。宝石とはまた違う。
叩かれ、叩かれ、鍛えられ、磨かれた刀身にはいくつもの指紋、凹凸、更には刃紋、あらゆる証が刻まれている。その証に光が当たり、反射し、Aの瞳の色を映し、紅の髪を吸い込み、億という単位の色彩がそこで咲いている。微笑んでいる。
美しいなんてものではなかった。特に、Aの瞳、髪の色が染みた箇所は際立って華やかに映った。
鋼鐵塚は感動が振り切って息をしていなかった。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
