�� - 003 新しい水は新しい容器に入れよ ページ47
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親しげに鋼鐵塚のもとへ駆け寄るAを見て鱗滝は人知れず固まった。とても密かに硬直した。
「おお、A！ 久しぶりだなあ！」
「もしや鋼鐵塚さんが私の担当の」
「そうだそうだ、お前の担当の刀鍛冶だ」
「やはりそうですか、凄く嬉しいです」
弾んだ声で微笑みかけられる。純粋無垢かつ嘘偽りのない瞳。ガラス玉のような少女の清さに真っ向から照らされて三十路手前の鋼鐵塚は言いようのない気持ちになっていた。
何かこう暖かいというか。春の陽だまりに立っているような気がするのだ。この少女の周囲に限って年がら年中桜が咲いているのではないだろうか。甘く蕩けるような香りもさる事ながら、花そのものにすら思えてくる。
鋼鐵塚は奇天烈で盛大な咳払いをした。
「これが刀だ。お前の選んだ鋼から打った刀」
背負っていた布を地面でほどき木箱を開く。と、
あれ──？ と屈む。
「鋼鐵塚さん。この鍔は確かあの時の刀の」
「ひとつ謝っておきたいことがある」
「謝っておきたいこと、ですか？」
「ああ。打ち直すと約束したあの刀、"今ではない"と判断した」
疑問符を三つくらい頭上に浮かべるA。
「俺はお前と別れてすぐあいつを打ち直そうとした。まずは刀身を研ぐことからだと思って砥石に置いたんだが、その途端に拒否されてなぁ」
「拒否？」
鋼鐵塚はそうっと頷いて砥石に両手を置く素振りだけを見せた。
「こう。俺の指が触ったら息を止めたみたいに輝きを失くした。お前が抜いた瞬間とお前が握っていた時は鮮やかな赤紫だったのが今じゃ錆び付いたような漆黒になってる。今じゃないから触るなって言われた気がしたんだ」
「日輪刀なんだろう。色落ちなんてことがあるのか」
黙って聞いていただけの鱗滝がAの後ろから顔を出す。色変わりの刀らしからぬ話が気になったようだ。
「あったんだからある」
「………。例の刀、Aが預けた刀鍛冶とはお前だったか」
「それは今いいだろ」
「よくはない」
顔を向けあったまま二人とも黙り込んでしまった。
面のせいでAからの表情はわからないが実はどちらとも顔を顰めていたりした。妙な空気を何とかしようと手を叩いたAはそう言えば、と切り出した。
「地面ですみません鋼鐵塚さん。中へどうぞ。いいですか？ 父さん」
�� - 004 一人よりも二人で願え→←�� - 002 罪は存在しない。罪人が存在するだけだ
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
