【文スト短編】悪夢の匣【ヤンデレ】 (ページ1)

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｢泥｣太宰治ページ1

「おはようAちゃん」

「あぁ、おはようございます太宰さん。」

そう言ってにっこり笑うAちゃん。ふふふ、可愛いねぇ。好きだなぁ、欲しいなぁAちゃん。でも、私の熱っぽい視線に気づいていないのか、Aちゃんはそのまま私の横をスタスタと通り過ぎて他の社員のみんなに挨拶をする。

気に入らないなぁ。

みんなは、きっと何も君のことをわかっていないよ。君の美しさ、健気さ、素直さ、全部私だけが知っていればいい。

「Aさんおはよう！今日はいい天気だね！」

敦くん、君は絶対にAちゃんのことが好きだよね。歳が近いからって、Aちゃんも優しくしすぎているんだ。ダメ、ダメ、私が一番Aちゃんを好きなんだよ。愛しているんだよ。

「おはよう！そうだね、お昼は一緒に外に食べに行こうか。」

あぁ厭だ。敦くんのとても嬉しそうな顔！なんで彼なんだ。私は？どう考えてもAちゃんに相応しいのは私の方でしょう？

Aちゃん。
その焦げ茶色のサラサラで透き通った髪。
それと同じ色の純粋な瞳。
可愛い声を聞かせてくれる小さな唇。
滑らかな白い肌はまるで雪のようで、
心配になるほど華奢な腰からのびる長い足は
どんな芸術家も唸る程の曲線美を描いてハイヒールに消えていく。

私の所へおいでよ。私、ずっとずっと待っているんだよ。なぜ君はそんなに焦らすのだい？そんな暇はないだろう？悪い虫がつかないうちに、汚い世界を知らないうちに、早く私の所へ来たまえよ。

嗚呼、いっそ殺してしまいたい。動かない君を人形のようにずっとずっと愛していたい。Aちゃん、君は知らないだろう。私の腹の内を。ここまでドロドロとした君への感情を。

私は、もう、耐えられないかもしれないよ。