☆∴.･*.･いのちのうた∴.･*.･:☆Masaki Aiba・2017年ハピバ企画 (ページ8)

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８★ふたつの命ページ8

(朝か…)

気がついたらカーテンの向こうが明るくなり始めてた。
一睡もできないままで体はダルいけど、
病院行かなきゃって思って眠気覚ましにシャワーを浴びた。

(大丈夫かな、Aさん)

昨日の様子を思い出して唇を噛んだ。
やっぱ無理やりにでも泊まればよかった。
あんな状態でひとりにしちゃって…
まさか変なこととか考えてないとは思うけど、

「っとヤベ、車のキーっと……」

今さらながらにAさんのことが心配になってきて、
俺は大急ぎで支度をして病院に向かった。

――コン、コン

こんな早い時間から面会だなんて、
普通の病院だったらまずできないはず。
でも、

「Aさーん…？」

こういう時ホント助かるなって思う。
事務所ぐるみでお世話になってるし、
他の芸能人もたくさん使ってる病院だからね。

(よかった、寝てる…)

ベッド脇にそっと腰かけた。
すぅ、すぅって規則的な寝息が聞こえてる。
けど掛け布団から出たAさんの両手はしっかりお腹に当てられてて、

「…」

それはまるで、
俺から赤ちゃんを守ってるみたいに見えた。

(ごめんね…)

Aさんの両手に自分の手を重ねてみる。
冷たいな、Aさんの手…
前から冷え性だって言うから単純にそう思ってたけど、
やっぱ貧血のせいもあったのかな。

(ごめん…)

手を重ねたまま、ベッドの端っこに頭を乗せて目を閉じた。
ここにいんだよなー今…小さい命が、２つ。

(…２人、か)

ごめんね、ひどいパパだよね。
けどパパはママのことが大事なんだ。
どうしても大事だから…

(ん？)

Aさんが少し動いたから、
起こしちゃったかなって思って慌てて顔を覗き込んだ。

(Aさん…！)

眠ったまま、Aさんは泣いてた。
閉じたまぶたからスルスルと音もなく涙が流れてく。
前の時みたいにうなされたりはしてないけど、

(…そうだよね)

けど前の時と同じだなって思った。
Aさんはもうちゃんとママなんだ。
それに比べて俺は…

「ごめんね…」

自分の情けなさと残酷さを思い知らされて、
何度目かでため息混じりに呟いた時、

「ん…」

「…Aさん？」

ぼんやりと開いた目がフッと俺を見た。