２６◇彼女の仕事 ページ26
「あ、そうだ」
Aがふと離れ、
部屋の隅の紙袋から何かを取り出した。
「…本？」
「ええ、写真集」
「えっこれAが出したの？」
「全部ではないのよ。
仲のいい写真家で集まって」
「でもすげぇじゃん」
自費出版ではなく、
かなり大手の出版社の名前が入っている。
ハードカバーのその表紙は、
美しい満天の星空を背景に―――
「これ…銃？」
「そうね」
岩に無造作に立てかけた、
銃のシルエットが小さく写っているものだった。
「へぇ…」
プロの写真家とはこういうものかと、
ページをめくる度に息を呑んだ。
どの写真もメッセージ性は共通していて、
美しい自然の中に、
人間の争いの醜さや傷跡が共存している。
「…うわ、これすげぇな」
５歳くらいだろうか。
泥だらけの女の子が満面の笑みを浮かべ、
カメラマンに向けて摘み取った小さな花を差し出している。
その右足は―――無い。
(タイトルが、えっと…)
ページをぱらぱらとめくる。
写真自体の迫力を優先するためか、
タイトルや短い解説は全て最後のページにまとめてあった。
(…『ＬＯＶＥ』、か)
タイトルを確認してまた写真のページに戻った。
地雷で足を吹き飛ばされた少女が、
何の曇りもない笑顔を浮かべ、
ただ撮影者に喜んでもらいたい一心で花を手渡そうとしている―――
(なるほどなぁ…)
その存在そのものが愛だということが、
写真全体から溢れるように伝わってきた。
「…俺この写真が一番好きだな」
横で静かに見守っていたAが、
それを聞いて微笑んだ。
「私の写真よ、それ」
「マジで？」
Aがどんな写真を撮るのか、
その仕事ぶりは正直なところよく知らなかった。
でもこの１枚を見ただけでもその凄さが分かる。
「映画みたいな写真って言葉さぁ。
あれ、ホントそうだなって今思うわ」
「ありがとう」
「いや、マジすげぇよ。尊敬する」
手放しの称賛に、
Aは誇らしげに微笑んでいた。
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薫子(プロフ) - さやさん» 1ヶ月経たずに1章終えることができたので、私としてはまずまずなペースかと(笑) 櫻井母に匹敵する女史の存在感…怖い怖いってキャッキャしてるにのあいを楽しんでいただけてたら幸いです♪2章は少しペースダウンかもだけど、またよろしくお願いしまーす！ (2019年11月2日 12時) (
レス) id: bb4ba45953 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様ｯ！１章サクッとお疲れ様でございました。女史はｱﾀｼの想像を越える強者でした。感情的に振る舞わず「ｺｺ割勘ね」な感覚流石！恒例の座談会も、最初のﾚｽﾎﾟﾝで誰だか分かる重症ぶりwさぁ次章も楽しみにしています！ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 4ca326b9cd (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» 嵐が来たぞー！となかなか笑ってられない感じになってきた中、早速お越しいただきありがとうございます！そうなんです、あの話ともこの話とも繋がっていきますよ♪あんなに前から伏線が…！と楽しんでいただけたら嬉しいです(^^) (2019年10月12日 16時) (レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様！台風の最中ｸﾞﾗﾝﾄﾞｵｰﾌﾟﾝおめでとうございます。あのお話ともこのお話とも繋がりそうな出発。色々読み直さねば！更新楽しみにしています♪ヽ(´▽｀)/ (2019年10月12日 15時) (レス) id: 4ca326b9cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2019年10月11日 19時
