193話 守ることと導くこと ページ47
ナル「Aは、学園に戻らないのかい?」
A「あたしは戻れない。ううん。今は戻らない」
まだ、やることが残ってる。でもそれ以上に、
A「ナル。あたしはたくさん生きたよ。もう、何百年も。あたしはきっと、あなたたちが死ぬ前に消える」
ずっと昔から分かっていたことだから、くいはない。人がいつか死ぬように、あたしにも寿命はある。
A「今あたしが棗たちと居たら、棗を守ることができる。でもね、それじゃいけないの。守るだけじゃ、彼らのためにならない。全てを背負った上で、前に進まなきゃいけないから!」
だからナル。あたしのワガママを聞いて。
A「すぐに、楽しいは待っていないけど、でも、あの子たちには未来がある。だから、学園に、連れて行ってあげて」
あたしが喚くだけの願いに対し、ナルは穏やかに聞いていた。
ナルの指が、雫を拾う。
ナル「泣いてる女の子の願いを無視なんてできないね」
A「子ども扱いしないでよ。あたしの方が長生きしてるんだからね」
それはもう、うーんと!
ナル「そうだね。葵ちゃんは意識不明の重体だよ。長時間の高熱とアリスの暴走による身体・精神的負担から、記憶の一部と視力を失っている可能性がある」
そう。記憶を・・・。馨ちゃん。
A「あたしはそろそろ行くわ。あの子たちを、頼むね。テレポート」
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作者名:宮本 真由美 | 作成日時:2015年7月23日 21時