後輩。 ページ3
ガヤガヤとした体育館から、バレー部の陽気な声が響いてきた。
「さあ、入ってきて。」
雪絵に背中を押されて、私は体育館に足を踏み入れようとしたが、バレー部の男子たちとはあまり交流がなかったので、少し緊張する。
「入りづらそうね。」
雪絵が私の背中を力強く押すと、私は勢いよく体育館に入っていった。
その瞬間、騒がしいバレー部の視線が一斉に私に向けられる。
しばらくの間、静まりかえった空気が広がった。
「新しいメンバーか？」
この静寂を破ったのは、ミミズクヘッドが印象的な木兎光太郎だった。
彼とは直接話したことはなかったが、彼の存在感は誰もが知っている。
木兎の言葉をきっかけに、3年生たちが次々と話し始めた。
「初対面で『ダレ？』はないだろう。」
「失礼だよ。」
「俺、何か変なこと言った？」
彼らの会話に心が和んでいく中、私も自己紹介することにした。
「はじめまして。本日から3年2組のバレーボール部マネージャーを務める足立Aです。雀田の代役で短い間ですがよろしくお願いします。」
私がそう言うと、一斉に大きな拍手が巻き起こった。
「足立、よろしく！俺は小見春樹。」
「尾長渉です。よろしくお願いします。」
「俺は木兎光太郎、よろしくな！」
その後、他のメンバーも次々に挨拶してくれた。
3年生たちは同じ学年なので、名前はどうにか覚えていた。
「2年生の赤葦京治です。よろしくお願いします。」
彼の落ち着いた声に気付いた。
騒がしいメンバーに気を取られて、彼にあまり注目していなかったけれど、彼もバレー部の一員だ。
「よろしくね、赤葦くん。」
真面目そうな子だな。
これが私の最初の彼に対する印象だった。
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作者名：みかん | 作成日時：2024年3月26日 21時
