大丈夫。【鬼滅の刃】

参拾参ノ舞 ページ35

煉獄「ならない」

？「見ればわかる、お前達の強さ。
柱だな？
その闘気、練り上げられている。
至高の領域に近い。」

煉獄「俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ。」

『…氷雪美A』

？「お前が氷雪美か…。
俺は猗窩座。
A、杏寿郎、なぜお前達が至高の領域に踏み入れないのか教えてやろう。

人間だからだ。老いるからだ、死ぬからだ。

鬼になろう、二人共。そうすれば、百年でも二百年でも鍛錬し続けられる、強くなれる。」

そういって、猗窩座は指を指す。

『老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさ。
老いるからこそ死ぬからこそ、堪らなく愛しく…尊いのよ。』

煉獄「強さというものは肉体に対してのみ使う言葉ではない。
この少年は弱くない、侮辱するな。
何度でも言おう。
君と俺とでは価値基準が違う。
俺は如何なる理由があろうとも鬼にならない。」

『私も…儚く散っていく命を無駄にしないためにも､刃を振るう。貴方のように虚しく悲しい鬼という生き物にはならない。』

猗窩座「そうか


術式展開 破壊殺･羅針

鬼にならないなら殺す、A以外はな。
A以外。そう、杏寿郎お前をだよ！！！」


煉獄「氷雪美！お前は御館様に上弦が現れたことを伝えろ！！！猗窩座は俺が何とかする！」


『いくら煉獄さんでも上弦の鬼は1人で相手にするには危険すぎる！』

煉獄「いいから！早く行け！！

炎の呼吸、壱の型 不知火」

『……任せます…！！』

ごめんなさい、煉獄さん。どうか無事で…
私は私が今出来ることを成す……！

『もっと速く、速く、速く走らないと…！！
御館様に伝えなければ……！！！』

戦場からだいぶ離れた所へきたけれど、まだ刀を振るう音が聞こえる。

煉獄「俺は俺の責務を全うする！！
ここにいるものは誰も死なせない！」

『煉獄さんの声…………

…っ御館様の所まではあと少し…！』



何刻か過ぎた頃だった。
「カァア！カァア！煉獄杏寿郎、上弦ノ参トノ戦イニオイテ死亡！！！カァア！！」

『……そん、な』

……私のせいだ。

私がもっと走るのが速ければ。
あの時、煉獄さんの言葉に逆らって、私も加勢していれば。
……あの場にいたのが私だけだったら…！

そんな…………！！！
煉獄さんが死ぬわけない、あんなに強いんだもの。
肉体だけじゃない、心も強い。
そんな彼が負けるはずない…のに……。

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