一枚目はあなたに３ ページ45
千空「工作は職人カセキに任してこっちは化学のお仕事だ」
A「まずは……おなじみ水酸化ナトリウム、銀、アンモニアを混ぜる」
クロム「例の小便から採る臭せーやつか！」
千空「こいつら混ぜたあやしい液にガラスを漬けこむ。隠し味に干しブドウのブドウ糖を少々かけりゃ＿＿完成！」
完成したガラス板をクロムに向ける。
クロム「早！…てかなんだこりゃヤベー、俺！！？」
《鏡を手に入れた！》
銀鏡反応を利用してガラス板に銀メッキを施す。銀の反射率はすべての金属の中で最高のため、鏡や反射フィルムなどの反射の必要なものに銀は多用されるのだ。
ちなみにグルコースはガラスに銀メッキを施すときに還元剤として使っている。
A「あとは表だけ拭いて裏には紙とかカーボンとか貼っておけば…」
千空「銀メッキも剥がれねぇでフッツーに使えるな」
銀メッキを施したガラス板を大量生産しながら、千空は出来上がった鏡の何枚かに木の板を貼り付けて銀メッキのガラス板を手鏡にしていた。
村の女性にはかなり好評。
羽京「鏡？南ちゃんが欲しがってたのって」
クロム「顔！美容！！すぐそれかよ」
とか言いつつ、手鏡を持って頬に触れているクロム。まぁ水面とかでなければ自分の顔なんて見れなかっただろうし、水面もかなり見づらいからな。
龍水「はっはー、無粋だな、クロム貴様は。女は皆美女だ。気にかけて当然だろう」
相変わらずの龍水。言いながらも私の髪を勝手にいじっている。なぜそんなものを持っているのか、ピンで止めて結び目にリボンを巻き付ける。
南「たしかに鏡も大事ですけどね、私が欲しいのは商売道具です！！」
少しムスッとした南。ようやく龍水から解放された私は千空に引き寄せられた。なんなんだ、この二人……
千空「この鏡はな、
羽京「それってもしかして…」
コハクやクロム、石神村の住民はピンときていないが、察しの良い龍水と羽京の二人は、驚きと喜びの混じった表情に変わる。
千空「カセキ先生の作った本体に鏡を入れてフタをする。本体に暗室機能もセットっつうわけだな。穴から海藻煮詰めた水流しこんで、捨てる。これでフィルム装填完了」
一瞬、ガーネットと目が合った。南にそれを差し出す千空。
A「
千空「人類史上最古の、カメラだ…！」
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作者名：Saki | 作成日時：2022年12月15日 13時
