デパート千空３ ページ24
杠「ほぐした麻のこのワシャワャの毛を、コマに結んで、回すだけ！」
一瞬にして糸を作った杠ちゃんに「おぉおおお〜〜」と歓声。そしてこれは意外と面白い。
杠「これを何万kmか作ります！」
陽「ウェエエイ。出たよそれ、やっぱりね！！」
カエデ「赤道付近の地球の演習は40,077kmだから…ともかくめっっっちゃ！たくさんだね」
マグマ「ますますわっかんねぇ。この糸で空が飛べんのか……！？」
陽「だから糸じゃ飛べねーよ。布作んだろそれで」
またまた喧嘩になるマグマくんと陽さん。さっきはビクビクしていたスイカちゃんも、今度はｽｲｽｲ糸を紡ぎながら喧嘩を見物していた。動物園みたい。
杠「糸で布を作るには、こうやって楽器のハープみたす、縦に何本も張って＿＿今度は横にくぐらしてきます！上下上下上下、交互に！！」
びっくりするくらいの地道な作業に、石神村で門番をしていたという茶髪の金狼くんと金髪の銀狼くんは目を丸くした。
銀狼「まさかこうやってちょっとずつ、一本ずつジワジワ線引いて増やしてくのぉ……？？」
糸は別にめちゃくちゃ太くないから、横幅がたっくさんある布を作るのは先の見えないくらい根気のいる作業。
陽「じ、地道すぎんだろ」
杠「手芸は根気！」
たしかに……。アタシは刺繍キット買ってみたけど、結局全然やらずに終わっちゃったからなぁ。
カエデ「でもこれじゃ永遠に終わんないよね」
杠「うん。うん、科学チームにお願いして手芸アイテム作ってもらっちゃおう……！！」
お願いしに行った杠ちゃんに、ちょっと不思議そうな顔をする銀狼くん。
カエデ「どしたの？」
銀狼「あ、いや…。杠ちゃんの手芸アイテムってどんなのだろうな〜、って気になっちゃって」
他にもピンときてない人がたくさんいたので、ちょっとびっくりした。旧現代人はピンときてよ！！
カエデ「織り機だよ。四角い枠組みの中に普通の穴と縦の穴が交互に開けてある板を挟むの。全部の穴に糸を通して持ち上げたら、普通の穴の糸だけ上に上がるじゃん？縦長の穴の糸は下にいくから。
そしたら一直線のままで、上下上下カンタンに交互にくぐれるの！」
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作者名：Saki | 作成日時：2022年12月15日 13時
