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火薬の冒険2 ページ30

目の前にはあちこち破損はしているが、形を保っている高徳院の本尊・鎌倉大仏が建っていた。


気付けば私の隣で杠が泣いていた。それに気づいた大樹が慌てる。


大樹「どうしたー、杠!!誰だ、泣かせたのは。俺かー!?」


杠「違う泣いてない!いや、泣いてなくはないんだけど!違うんだよ、大樹くん!」


杠は大仏から目を離さずに話を続ける。


杠「私まだ今日起きたばっかで、なんか全然__現実感ないっていうか。でもこの鎌倉の大仏…様見たらホントに日本だったんだなあって。ホントに何千年もたっちゃったんだなあって…………」


私たちの間を、記憶とは異なった桜の花びらがふわりと舞う。


杠「お母さんやお父さんやみんなのこととか。急に…」


確かに杠の言う通り、どこか現実味のないこの世界。今までこれは夢なんじゃないのか、と思ったことがないと言えば嘘だ。

けれど、目の前に見えるこの仏像一つの風景が、私を現実へと引き戻していく。



A「ずっと起きていた私も実感が湧かないくらいだからな__目覚めたばかりの君は尚更だ」


千空「ククク、心配するこたぁねぇ。今から俺らで司に勝って全人類助けんだからな」


大樹「そうだぞー、杠!!大仏が道を教えてくれたしな。何千年も腐らず無事とは!さすが神様…仏様か?ともかく!そういうのじゃないかー!」


千空「いや、そもそも大仏は青銅だから腐らないってだけだろ」


千空の指摘に一瞬黙り、ジト目で千空を見る大樹。



大樹「…見ろー!大仏の周りだけ緑が全く生えていない。俺達が見つけやすいようにしてくれてたみたいじゃないかー!」


A「鎌倉大仏は長年の風雨に晒されて緑青で形成されているな。まぁどっちにしろ金属イオン濃度が高ければ大抵の植物には毒だ」


今度は私が指摘する、少し考える仕草をしたあとに千空は閃いたように手を叩いた。



千空「青銅!鏡に使えんじゃねえか,これならゴミ六分儀の精度が上がる!ありがたく頂いていくか」


大樹「よせー!バチ当たりな奴らめー」



石器片手に目を輝かせる千空を大樹が止める。結局青銅は諦めてしまったが、杠はその光景を見て笑っていたので取り敢えずは良しとしよう。

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Miror - 滑車習った覚えがない (11月20日 15時) (レス) @page43 id: b10d4121aa (このIDを非表示/違反報告)
Mari(プロフ) - 滑車の原理なんて習わなかったですよね!多分私立の小学校とか進んでる小学校とかなら教えてもらってるんですかね? (2022年7月18日 14時) (レス) @page43 id: b5bf6b5c5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Saki | 作成日時:2021年8月8日 20時

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