goodbye（��） ページ41
その辺りを、風音だけが通り過ぎたが、それは太宰の一声により刹那的に遮られる。
「君は、人を殺めた時に、憎しみやその類の感情を持った事はあるかい？」
「……いえ」
津島は何となく怪訝そうに応えた。
太宰の思考は、相変わらず読めない。
「なら、君が人を殺める時に、常に持っていた感情は？」
「それは……」
この質問に、応えて良いのか分からなかった。
もし、人を殺める時の感情が、自分が予想しているものと真逆だったら？
それよりも、感情の無い、謂わば無感情、無心だったら？
生唾を飲んだ。
それが津島の覚悟の証拠だ。
「きっと、……愛情」
矢張り、と太宰は笑った。
まるで二人だけが、別の次元と時に取り残されている様な、感覚的な何かがあり、先刻まで吹いていた風はもう無い。
「私は人を殺める時に、慈悲なんてこれっぽっちも無かった。
憎しみは米粒以下程度も無くて、無心だ。
唯自分がポート・マフィアである事を理由に、名前も知らないような連中等を殺していた。
増してや、愛情なんて芥程にも感じていなかった」
――だが、ある友人と出会ってね。
太宰の瞳の奥には、ちらりと友情と愛情が映し出されていた。
「私は、その時初めて変わったんだ。
人の愛と情を知ったんだ。だから、私は――」
まだ、二人の小さな存在を誰も気付かない。
津島と太宰は、自然と向かい合っていた。
「最初からその感情を持っていた君を、素直に綺麗だと思う」
溜め息を吐いてしまう程、その時の太宰の顔は輝いていた。
月のような儚い美しさでは無く、太陽のような何処か熱心な美しさだ。
「嗚呼。……そんな事を、又淡々と……
本当に、好きですよ。太宰さん」
彼女の瞳に、ちらちらと光が宿っている。
津島と太宰は、他の誰にも真意は分からないように、くすくすと笑った。
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雑草と花(プロフ) - 切なくて素敵です……！エモい…！ (2020年5月25日 16時) (
レス) id: 157490c8f1 (このIDを非表示/違反報告)
Tukimi(プロフ) - ユナさん» はいっ！ありがとうございます！！(間違ってたらスイマセン…。) (2017年4月27日 21時) (レス) id: 92c302cc08 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - Tukimiさん» 承知致しました。更新する際に紹介させて頂きます。ありがとうございました！ (2017年4月27日 21時) (レス) id: 8f8a6b3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
Tukimi(プロフ) - ユナさん» えっと…。作品のURLは、http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Painted/ ですっ！ここれを載せてくれれば私の作品にとんでいけます！ (2017年4月27日 20時) (レス) id: 92c302cc08 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - Tukimiさん» 全然大丈夫ですよ。というか、お仕事早い……(( (2017年4月27日 20時) (レス) id: 8f8a6b3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年4月5日 14時
