18話 ページ19
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「せんせー、教科書忘れたんで狐森に見せてもらいます」
数学の時間、角名がそう数学の田村先生(通称タムタム)にそう言って私の席とくっつける。
「次からは気を付けてください」
「はぁい、ほら見せろよ」
「あんた見せてもらう立場で偉そうなの何なの??」
どこまでも上から目線な角名に苛立ちながらも教科書を見せてあげる私は世界中に褒められてもいいレベルだと思う。
「____それでは先程の公式を使って問2・3を解いてみましょう」
「ちょっと見えない。もうちょっとこっち寄せて」
「は?指図しないでくれる?どこやるの?」
「教科書見せねぇぞ。問2・3だって」
そう言って角名の方に寄り、問2・3を探す。問2…問3……あった。パッと横を見ると角名の顔が間近にあって思わず小さい悲鳴を上げる。
「なに?」
「ち、近くない?」
「しょうがないでしょ……あ、ドキッてしちゃった?」
「な訳。いいからはよ解け」
私の言葉でカリカリとシャーペンを動かす角名に私も問題に取りかかる。何分か経った頃だろうか、角名がトントンと私のノートを叩いた。
「?」
「見て、タムタム」
「ぶふっ…!」
静かな教室に私の吹き出した声だけが響く。私の背中は冷や汗がタラタラと流れている。
「…狐森さん」
「はい……」
「何が面白かったんですか?」
「す、角名くんが……落書きをしてて……」
クックと肩を震わせる角名の動きがピタリと止まる。お前のせいで怒られたんだ。道連れにしてやる。
「角名くん?ノート見せて貰えますか?」
「……いえあの…」
今度は私が肩を震わせる番だ。きっと角名の背中も冷や汗がタラタラ流れている事だろう。現に角名の目は泳ぎに泳ぎまくっている。金魚かよ。
「……まぁいいです。2人は問2問3の式と答えを黒板に書いてきてください」
「はい」
「…はい」
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白藍色(プロフ) - めっちゃ面白かったです! (2022年11月20日 19時) (レス) id: b9a654c6fb (このIDを非表示/違反報告)
もちトロ - 高校生のソフトボール投げのボールめっちゃでかいしブヨブヨで投げにくいからな…22mってすご?! (2022年5月3日 19時) (レス) @page16 id: 64d596bd65 (このIDを非表示/違反報告)
名無し13188号(プロフ) - 蓬莱寺さん» 「つねる」と同じ意味です!すみません、ずっとちみくるが標準語だと思ってまして、調べてみたら三河弁だったみたいです!お返事遅くなってしまい申し訳ありませんでしたm(_ _)m (2021年8月8日 9時) (レス) id: d19caa8afe (このIDを非表示/違反報告)
蓬莱寺(プロフ) - 『ちみくる』って『つねる』で良いのでしょうか?というか何処の方言なのですか? (2021年5月15日 11時) (レス) id: de353d3df7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し13188号(プロフ) - キースさん» コメントありがとうございます!ちょっと無理くりかなと思ったんですけど噛むってのは書きたかったので尊いなんて言って貰えて良かったです!ありがとうございます!! (2021年3月31日 20時) (レス) id: d19caa8afe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チベスナ。 | 作成日時:2021年3月23日 8時