14話 ページ15
.
身体測定も無事に終わり、次は体力測定になった。男子は体育館で、女子はグラウンドでそれぞれ別の事を行う。
｢やっと角名から離れられるわ｣
｢こっちの台詞なんだけど。つかさっきの腕痛すぎ、最悪｣
恨みがましい目でこちらを見る角名に嘲るような笑みを見せると、ピキリと青筋を立ったのが見えた。私はそそくさと退散し、遠くから角名にべーっと舌を出した。こういうのは逃げたもん勝ちだよ。
｢ほんなら50m測定から始めるで｣
その言葉で私達は2人ずつ計測を行った。久々に走るため脚に不安を抱えながらも位置につく。よーい、の後の笛の合図で私は走り出した。
｢…えー、狐森7.9！栗田9.7！｣
｢げ、落ちた…｣
長いこと運動をしてこなかったせいかタイムが落ちている。なんて事だ、と落ち込んでいると隣からふんわりとかわいい声が聞こえてきた。
｢狐森さん、足速いんやなぁ｣
｢そんな事ないよ〜！｣
｢あたしめっちゃ足遅いねん！だから狐森さんが羨ましいわぁ｣
のんびりとした声で喋る彼女は、いかにも女の子！といった感じで可愛らしい。
｢なぁ名前で呼んでもええ？｣
｢もちろん！｣
｢じゃあAちゃんもあたしの事も舞香って呼んでな？｣
｢うん、よろしくね舞香ちゃん｣
そう返事をするとよろしゅうな！花の咲いたような笑顔で私の両手を握りブンブンと振る。肩、肩外れる…！
｢次ハンドボール投げやって｣
｢お、いいね！行こっか｣
｢嬉しそうやな、得意なん？｣
｢んー、前に部活でやってたからね。今はもう怪我で出来ないけど｣
そう言ってしまった、と思う。角名の時同様、暗い雰囲気になってしまう！と舞香ちゃんの方を見ると案の定固まった表情をしていた。
｢あ、いや、激しいのはキツいだけで、全然体育とかなら余裕だから！！ね！｣
｢そうなん？｣
｢そう！だからそんなに悲しい顔しないで！｣
ワタワタとする私が面白かったのだろうか。舞香ちゃんはふふっと可愛らしく笑って分かったと言った。
……私もこんなふうに笑えば角名にブスって言われないのか？｢狐森がやってもブスはブス｣うるせぇ脳内にまで出てくんなクソギツネ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 400人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白藍色(プロフ) - めっちゃ面白かったです！ (2022年11月20日 19時) (
レス) id: b9a654c6fb (このIDを非表示/違反報告)
もちトロ - 高校生のソフトボール投げのボールめっちゃでかいしブヨブヨで投げにくいからな…22mってすご？！ (2022年5月3日 19時) (レス) @page16 id: 64d596bd65 (このIDを非表示/違反報告)
名無し13188号(プロフ) - 蓬莱寺さん» ｢つねる｣と同じ意味です！すみません、ずっとちみくるが標準語だと思ってまして、調べてみたら三河弁だったみたいです！お返事遅くなってしまい申し訳ありませんでしたm(_ _)m (2021年8月8日 9時) (レス) id: d19caa8afe (このIDを非表示/違反報告)
蓬莱寺(プロフ) - 『ちみくる』って『つねる』で良いのでしょうか？というか何処の方言なのですか？ (2021年5月15日 11時) (レス) id: de353d3df7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し13188号(プロフ) - キースさん» コメントありがとうございます！ちょっと無理くりかなと思ったんですけど噛むってのは書きたかったので尊いなんて言って貰えて良かったです！ありがとうございます！！ (2021年3月31日 20時) (レス) id: d19caa8afe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チベスナ。 | 作成日時：2021年3月23日 8時
