【話集】fluff

1-11 childhood ページ11

若武side

「あぁぁぁ！今日はゲーム出来なかったな！」

グラウンドから秀明へと向かう途中、敵わなかった希望を口に出して上杉や黒木に同意を求める。

「まあな。」
「基礎練だけの日もあるさ。」

秀明授業前のサッカー練習、今日は何故かゲームが出来なかった。やっぱり、スポーツの醍醐味は対戦だから少しだけやるせない気分だ。

「あまり体力を消耗しなかったんだ、その分のエネルギーを授業で消費しろ。いつもより理解力が上がるんじゃないか。」
皮肉屋の上杉がボソッと呟く。

「なんだと。俺はサッカーで思い切り動き回った方が集中できるんだ！」

「へっ、ただのサッカーオタクめ。」

「なんだと！そういうお前はただの数学オタクだろ！」

「おい、殴られたいのか、バカ武。」
「望むところだ、バカ杉。」

いつも通りのやりとり。黒木からしたらお馴染みなんだろう。止めにも入らない。いつも通りの時間。…だと思っていた。



あれを見るまでは。

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