白と黒と、【男主】【刀剣乱舞】 (ページ31)

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第60話ページ31

その後、天光丸は陽岬の方を向き、

天光丸「ありがとう」

そう、一言言った

多分、たくさんの意味が詰まっている

陽岬は、目を見開く

陽岬「いえいえ、あなたが幸せそうで私も嬉しかった」

そう、優しく微笑む

その2人は酷く美しかった

翔唯(……ほんっと絵になるよな)

どこかで儚く、

澱んでいて、脆くて

それでいて力強い

そんな彼らは美しかった

2人は門へ向かっていった

それを追いかけようとする童子切や、獅子王を手で制する

多分もう心配することは無い

陽岬は天光丸を傷つけるようなことはしない

最後の2人の時間に邪魔をするのは良くないだろう

翔唯「ふぅ、そろそろ昼餉の時間じゃねぇか？

早く行かねーとみっちゃん達に怒れるな！

広間へ戻ろう」

翔唯はそう2振りに言うと

納得いかなそうに童子切は言う

童子切「……あの女に連れていかれたらどうするんだ」

翔唯「んー？それは、心配いらないよ

陽岬さんはそんな事しない」

獅子王「なんで言い切れるんだよ？！」

もしかしたら……そう獅子王達は呟く

それを見て翔唯は口を開く

翔唯「んー？だってさっき見ただろ？

陽岬さんが、天光丸達を優しく見てるのを

そんなやつが天光丸を傷つけたり、

ましてや幸せを奪うようなことはしねぇよ」

だから、安心しろ

そう笑って言うと、童子切はまだ納得いかなそうだが、

広間へ向かっていった

翔唯は門の方に視線を向ける

なにかを呟き、悲痛な顔をする

獅子王「主？」

獅子王の声にハッとして、

いつもの顔に戻る

翔唯「すまんすまん！ぼーっとしてた」

翔唯は小走りで広間へ向かっていった

……

翔唯は何を言ったのか、

翔唯は何を思ったのか

翔唯はなぜそのような顔をしたのか

誰にも何もわからなかった

………………………

とうとうもんに着いてしまった

天光丸「……」

天光丸は黙り込む

陽岬は笑顔で天光丸に言う

陽岬「ねぇ？天光丸！私ね！あなたが生きていてくれて本当に嬉しかった！」

いつもよりも明るい声で

天光丸「……！」

心配かけさせまいと、

天光丸を悲しませないように

陽岬は笑う

今度は上手に笑えているはず

だって何度も練習したんだもの！

それに気づいた天光丸は

天光丸「……もう、いいんだ」

そう苦しそうに呟く

陽岬「……え？」

陽岬は意味がわからなかった

なぜ天光丸が苦しそうにしているのか

自分は心配させないように…

陽岬「お願い、泣かないで…」