白と黒と、【男主】【刀剣乱舞】 (ページ20)

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陽岬･過去編12 ページ20

宴が進むにつれ、酒が減り、広間に残っている刀剣男士も減っていった

陽岬「……」

ここで見る最後の月は、私を嘲笑うかのように綺麗な満月で

酷く憎たらしかった

さて、ただ今12時を過ぎようとしている

そろそろお迎えが来るだろう

ここから誰にもバレないようにお別れをしなければならない

一応着替えておこうと思い、部屋へ戻る

今まで来ていた袴を脱ぎ、

新しいものへ変える

必要最低限のものだけをカバンに入れ、

思いのほか少ないが、まぁいいだろう

陽岬｢んーまぁ、一応……ないと思うけど｣

そう呟き、御札を作る

もしも、ここの子達が傷つきそうになったら

加護が着くように

そして、私との縁を切らないように

……引き出しから和紙を取り出し、そう願いを込めながらスラスラと筆で書いてゆく

陽岬｢ふぅ｣

やっと完成！と思い、額の汗を拭う

あとは、ここに私の血を垂らすだけ

そう、呟き、カッターで手首を切りボタボタと垂らす

陽岬｢……｣

そこら辺にあった包帯でくるくると手首をまく

そうして、その御札を引き出しに戻す

もう、やることはない、

やるべきことは全てやりきった

そう思い、審神者部屋を出る

もうこの部屋に入ることは二度とないだろう

今までありがとうという意味を込めて

ゆっくりと障子を閉める、

少し遠回りをして門へ向かったのは、誰かに気づいて欲しかったからかもしれない

門に着いた時にはもうそこには、翔唯たちはいた

唯翔「……忘れ物はございませんか？？」

心残りはないかと遠回しに聞いてくるが、

陽岬「あると言ってもどうせ聞かないでしょう？？」

そう突き返すと

翔唯は困ったように笑った

翔唯「俺に権利があったら変わってたかもしれませんね……」ボソッ

陽岬「？」

翔唯「いいえなんでも」

それでは行きますよ。

そういい黒い車に乗せられる

人生でこの車に乗るのは二回目だ

拉致られた時と、今回。

どんどん遠くなっていく門

何故か急に苦しくなってきて

いつの間にか涙が溢れていた

陽岬「……ｯう…ぁ……」

バイバイ、私の刀剣男士たち

.

今までありがとう。愛してる。

.

さよなら