ストーカー ページ10
体調の回復した後、友人は私に何があったかを尋問してきた。
けれど一向に口を割らない私の様子を見て、諦めたのか隣に腰掛けてくる。しばらく無言の間を過ごすと、友人は語り出す。
「まぁ、とにかくストーカーに悩んでるんだよね。最近また激しくなってさ、ドアバンバン叩かれたりすんの…ヤバくない?」
「ヤバいね」と賛同する。
まさかそこまで深刻だとは思いもしなかった。彼女はこうやって平気なように振る舞っているが、本当は怖くて仕方ないはずだ。
協力したい。心からそう思った。
「流石に警察に相談した方が良いよ、証拠とか色々撮って。何なら私手伝うよ」
そう伝えると、友人は黙り込んでしまう。プルプルと震えて私に顔を見せようとしてくれなくなってしまった。
「どうしたの?」と聞こうにも、「大丈夫」を連呼するばかり。
顔を覗いた時、始めて分かった。泣いてる。
「…ありがとう。本当に」
そう感謝してくる彼女にもらい泣きしそうなのを必死で堪らえた。
何十分かそうしていると彼女も収まったようで、話してくれる。
「…出来たら、今日泊まって欲しいな。今まで一人で、心細かったから」
答えなんて一つしかないに等しかった。
「思ったんだけど…」
私は質問の始めをスタートさせる。
「ストーカーからの手紙とかって持ってる?」
「うん、持ってる。今持ってこようか?」
私が首を縦に振ると、友人は手紙を持ってきてくれる。
かなり古そうな物から新しそうな物までゴチャゴチャに混ぜられていた、手紙それぞれ色も形も筆跡まで違う。
犯人は相当器用な人物らしい。
唯一全て共通するのは、どこか脅迫するような文章だという事と、いつどこで何したかがビッシリ書いてある事。
普通に『愛しています』『ずっと貴方の事を見ていたい』など中に。
例えば『もしこの手紙を捨てたとしたら、貴方はその身を捨てる事になるだろう』など、愛があるにしては中々な文面の物もあった。
そして大体の手紙の裏には、その日友人が行った行動が秒刻みでミッチリ書いてある。
手紙の内容もそれに則した物になっているようだ。
これは、どこかから監視していますと白状しているような物ではないか。
まさかこの会話も聞いているのか?想像してしまうとまた寒気が走った。
「…気持ち悪いでしょ。」
眺めていると、友人が本音らしき物を零した。
本当は捨てたくて仕方なかっただろう。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←恐怖
1人がお気に入り
「ヤンデレ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名も無き者(プロフ) - そう言って頂き嬉しいです…!イベント参加させて下さりありがとうございました! (3月7日 6時) (レス) id: b52add099d (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - この度はイベントへの参加ありがとうございました!(連投申し訳ございません) (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - コメント失礼します〜!題名的にギャグ系かと思いましたが、想像より遥かに真剣なお話で良い意味で期待を裏切られました…!描写も細かく、もっと有名になるべき作品だと感じました!これからもお時間あるときにでも閲覧させていただきます! (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名も無き者 | 作成日時:2024年3月6日 17時