決断 ページ8
私の返答を今か今かと待っている彼に、私はお望み通りの答えを出した。
「…泊まってい」「やったぁ!」
「でも」
私の返答を遮った彼の声を、遮り返してやる。そして、代わりとなる条件を提示した。
「絶対に私の部屋には入らない事」
その条件を聞いた彼はしばし残念そうに眉を八の字にしていたが、仕方がなさそうに「分かったよ」と条件を呑んだ。
本当ならタメ口も敬語に直させたかったが、そんな事してもあまり意味はないのでやめた。
自分の貞操を守る方が何倍も大事である。
未だに残念がる彼に呆れの気持ちすら湧きつつ、寝ても良い部屋に案内する。
元々両親と住んでいた家だったので、彼が寝ても良い場所自体はいくらでもあった。
その中の一つ、二階にある私の部屋から一番遠い一階の隅っこの部屋に案内する。ここは元々お父さんが寝ていたところだった。
今はたまに泊まりにくる友人用の部屋となっているが。
「良い部屋だね〜」
素直にそんな感想を漏らす彼を見ながら、私は寝に行く。
忘れかけていたが、私は明日も仕事だ。
「じゃあ、おやすみなさい」
私がそう挨拶すると、彼は部屋の扉を締めた。
次の日の朝、今日は珍しく取れた休日だったのでのんびりと散歩していた。
一応今朝彼の様子を見に行ったのだが、何ともういなくなっていた。
少し寂しさを覚え、安否の方が気になって仕方なくなる。
(…今日の夜、家行ってみようかな)
ちょっと訪ねるだけだし…と思っていると、声をかけられた。
「…おはようございます」
振り返ると、そこには私の隣人がいた。しかし、眉間には皺が寄り、目を伏せがちにしている。何故か機嫌が悪そうだ。
どうしたのか、と私が舌を動かそうとした瞬間だった。
「和さんの心配など、しなくて良いですよ」
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名も無き者(プロフ) - そう言って頂き嬉しいです…!イベント参加させて下さりありがとうございました! (3月7日 6時) (レス) id: b52add099d (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - この度はイベントへの参加ありがとうございました!(連投申し訳ございません) (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - コメント失礼します〜!題名的にギャグ系かと思いましたが、想像より遥かに真剣なお話で良い意味で期待を裏切られました…!描写も細かく、もっと有名になるべき作品だと感じました!これからもお時間あるときにでも閲覧させていただきます! (3月7日 0時) (レス) id: 82abefb882 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2024年3月6日 17時